吉野家ホールディングス(HD)グループでラーメン店経営のウィズリンクは今春、グループ初となる欧州フランチャイズ(FC)店を開く。2014年の海外初進出から10年。コロナ禍で出店停滞と退店があったものの、海外は6カ国、29店に拡大した。24年は、欧州進出を皮切りに出店を加速する。国内もコロナ前水準に回復するなど、堅調に推移。就任3年目を迎えた秋月大輔社長に国内外の出店戦略を聞いた。

ー吉野家グループ初の欧州進出英スコットランドに今春オープン今春は英スコットランドのエディンバラ城近くに出店する。観光客が多い地域で、ラーメン一杯12 ポンド(2253円)で提供。初年度売上高2億4000万円を目指す。同店は、香港でアミューズメント施設を経営するオーナーとFC契約。2年間の同地域での独占出店契約を結んでおり、現地での出店を後押ししていく。吉野家グループにとって、欧州初進出となる。市場調査をしてグループの他業態の進出にも貢献したい。欧州地域ではドイツでも予定しており、エリア拡大に注力する。

このほか、フィリピンで4店を計画。現地のラーメン「ばり嗎」では1杯350ペソ(889円)で提供。現地の人にとっては日給に近い水準と高価なため、ばり嗎より手軽に食べられる廉価版ブランド「ぶちとん」を展開していく。各国では、現地の相場に合わせて価格を設定し、日本のラーメンを世界へ広めていきたい。

ー海外は過去10年で約30店に拡大 まねできない味として高評価日本から直送するスープは、まねできない味として評価を得ており、シンガポールで表彰を受けたことも。実際に当社のラーメンを食べた人たちからFC加盟希望の声をもらい、順調に店舗数を増やした。出店はコロナ禍で厳しかったものの、22年と23年に東南アジアで計11店を出した。売上高も順調に回復しており、オーストラリアの店舗は、席数40で月商2500万円(23年12月実績)を達成。チェーン店全体の売り上げは12月単月で国内2億4000万円、海外2億3000万円と比率はほぼ半々となっている。前年同月比と比べて18%増にまで回復してきた。国内店舗のリニューアル進める売上高はコロナ前水準に回復国内は過去2年で直営店のリニューアルを完了。現在、FC店でも進めている。既存店の売上高はコロナ前を上回る水準に回復してきた。中でも、昨年11月に呉市に新業態としてリニューアルオープンした「韓国ラーメン専門店バリウマ」は女性客に人気で、初速ではリニューアル前の2倍の来店があった。既存のばり嗎とは客層が違い、併設してもやっていけそうな手応えを感じた。他社とのコラボレーションも進めてきた。例えば、ギョーザの皮製造の井辻食産や、沖縄県のアイスクリーム店とのコラボで従来と異なる客層を取り込めた。国内の胃袋事情は小さくなる一方だが、さまざまな取り組みを通じて選ばれる店づくりを進める。ー25年2月期は30店オープン国内外でFC店を増やすためにも、繁盛店として認知してもらえるようPRを強化。25年2月期は30店舗オープンを計画している。特に欧州は、吉野家グループで展開するのは当社だけ。グループ本部に欧州からの問い合わせも多く、ラーメン店のFC希望者に応えていきたい。そして、35年には国内外で300店を実現させたい。

プロフィル

あきづき だいすけ1984年3月7日生まれ、長崎県出身。2007年、岡山大学経済学部卒業。証券会社勤務後、08年にはなまるうどん(吉野家HD)入社。13年、吉野家HDグループ企画室所属。傘下のピッツァナポレターノカフェ社長、沖縄吉野家社長を経て21年11月1日から現職。

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