全国で最低
街なかで外国人の姿をよく見かけるようになった。2023年の中国地方の外国人延べ宿泊者数は183万3870人泊で、19年比83・3% までに回復(国土交通省資料)。今は円安の恩恵か、広島の街も一層外国人でにぎわう。広島経済にどんな波及効果をもたらしているだろうか。中国運輸局は5月24日の記者会見でインバウンドに関する数値を発表。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(23年)で中国ブロックは旅行者一人当たりの旅行中支出(消費単価)が4万1365円、平均泊数が1・92泊で共に全国10ブロックのうち最も少ない。来年4月13日から184日間にわたり大阪・関西万博が開催されるチャンスをどう生かすか。運輸局観光部長の島津克紀氏は、「万博開催にタイミングを合わせて瀬戸内国際芸術祭、世界バラ会議福山大会などが予定されており、絶好のチャンスを逃す訳にはいかない。既に旅行業協会や観光地域づくり法人(DMO)などと検討して滞在型周遊モデル18コースを作成し、旅行商品として打ち出す計画。それぞれのコースに特徴があり、宿泊者数、滞在日数の増加に期待している」観光客が集中するオーバーツーリズムの影響も懸念される中、中国地方へ誘客し、観光地域づくりに知恵を絞ってもらいたい。
本大賞にノミネート

京都府北部の丹後は邪馬台国だったのではないか。編集出版を手掛けるガリバープロダクツ(中区)社長の通谷章さんは、そうした新たな解釈を織り交ぜながら殺人事件の解決を描くミステリー小説「浦島伝説殺人事件」を3月に発刊。注目を集め京都本大賞にノミネートされた。日本ペンクラブ会員で、ペンネームは群青洋介。今回で11作目の小説となり、同大賞の選考結果は今秋に発表予定。同社で編集を取り仕切る大森富士子専務は、「同大賞は京都市を舞台に描かれたものばかりで、府内のほかの地域の例はなかったそうです。現地の書店商業組合や出版取次大手の支店から期待と励ましの言葉を頂きました。ラジオ番組で15分間紹介してくれたほか、何と書店で〝浦島太郎本フェア〟が実現。力強い後押しをひしひしと感じています」事件の真相や人間模様に、浦島太郎の伝承が残る丹後ならではの歴史背景を盛り込んだ。主人公は、有力豪族の海部一族の系図などから支配地域が邪馬台国だったと分析。これが殺人事件の犯人を推理する鍵を握る。小説家群青さんは淡々とした表情だが、胸の内はじっとしておれぬほど期待が渦巻いているのではなかろうか。定価1760円。全国主要書店で扱う。
40周年記念式典

女性や女児の人権尊重、社会地位の向上を目指して奉仕活動などを行う国際ソロプチミスト東広島(今谷玲子会長)は6月3日、認証40周年の記念式典を憩いの料亭白竜湖で開いた。40年皆出席の今谷会長と川崎冨美子さんを会員表彰。東広島次郎丸太鼓が祝宴を盛り上げた。今谷会長は、「1984年6月2日に全国140番目のクラブとして誕生。34人の素晴らしい仲間とともに、少しの不安と大きな希望に胸を膨らませながらの出発でした。長年続けてきた留学生のための奨学金制度や竜王山での植樹活動のほか、今年は東広島市運動公園にチャイム付きソーラー時計1基を記念寄付。子どもたちのために地域で活動されている方々に金一封を贈呈しました。こうした活動を続けながら友情を築き、みんなで楽しみながら40年過ごしてきました。これからも会員一同、気持ち新たに前進していく所存です」
一意専心
スーパーのフレスタグループで、総菜製造のフレッシュセブン(安佐南区)は2022年秋発売した、甘さ控えめの新製品おはぎの売れ行きが好調だ。5月までの1年半で累計販売数は260万個に上り、想定の倍以上のペースという。平岡裕司社長は、「菓子製造の許可取得を機に、おはぎで有名な競合他社数社をベンチマークして開発に着手。最初の試作品はまるで仏壇の前に放置されたかのようにカチカチで箸が刺さらなかった。全くの素人集団で始めたが、最初の失敗で余計に燃えた。一意専心を胸に刻み、素材を学ぶところから製造工程まで徹底的に研究。1年半をかけてようやく小豆の香りが際立つ粒あん、時間がたっても軟らかいシャリを実現することができた」大ぶりでボリューム感があるが、甘さ控えめで何個もペロリと食べられると好評だ。桜や栗など季節限定品も投入し、飽きがこないよう工夫を凝らす。2個入り200円。同業の先行事例を基に、各店でカットする「寄せプリン」にもチャレンジ。昨秋に商品化し、ベーカリー部門の定番商品になっている。先駆者に学び、脇目もふらず必死で突き詰める一意専心の姿勢こそ、成功の秘訣なのだろう。
かつら市場に挑む
赤ちゃんの胎毛を使った筆の製造・販売を手掛ける光文堂(呉市川尻町)は、新分野のかつらやウィッグ市場に参入し、本格的な販売を始めた。専用のインスタグラムを開設し、全国4万店以上の理美容室代理店網を活用して展開。自然な仕上がりが特長の100%人毛をメインに取り扱う。おしゃれ意識の高い30〜60代の中高年をターゲットに部分かつらや全頭かつら、地肌に貼り付けるタイプなど多数の商品をラインアップ。吉村和紘社長は、「パーマや毛染めも可能な女性用・医療用のかつらも完備。理美容室の新たな収益源として期待される。胎毛筆で培った信頼と経験を生かし、新規取扱店を開拓していきたい」
ロボフェアに出展
機械卸の広和機工(廿日市市)は7月3〜5日、約20団体が集まる「ロボット産業マッチングフェア北九州」に出展する。安川電機をはじめ、同地区に集積する関連企業や研究機関が多数を占める中、広島県からは同社が唯一、自慢のロボットを展示する。2017年熊本県に営業所を開設以来、九州での拡販に注力。当初は全く知名度がなく苦労したが、地道な活動で徐々に認知されてきたという。フェアでは物品の仕分けや加工ができる協働ロボ「ソーヤー」と、自律移動式搬送ロボ「ケイガンALI」の2種をデモンストレーション。江崎秀樹取締役は、「どちらのロボットも複雑な設定が不要で簡単に使えるのが強み。中小製造業では社員の高齢化やデジタル技術者の不足が課題となっており、効率化を図るためのプログラミングに手間取ってしまっては本末転倒。主にロボ活用の実績やノウハウが少ない事業者向けに訴求していく」本社でも体感できる。