2023年の広島県経済は、新型コロナが収束し、製造業でも半導体供給が戻るなど回復基調となった。広島市ではサッカースタジアム開業やJR広島駅再開発など、都市開発が進んでいる。地元金融機関トップに、24年の県経済の見通しや経営方針を聞いた。

ー県経済の現状と新年の見通しは。23年は新型コロナが5類に移行し人流が戻り、G7の影響もあり観光客が増えるなど、飲食、小売り、サービスは回復基調です。製造業も半導体の供給制約がなくなり、良い流れになっています。一方で、原材料高や人手不足、人件費上昇などの懸念材料もあり、建設・運輸業界では24年問題が課題になっています。こうした経済環境の変化に対応できるかどうかで企業の二極化が進むと予想されます。企業の実情に寄り添い、グループの総合力を生かして金融の枠にとらわれないソリューション提供を行います。ー昨年は創業百周年でした。23年11月に百周年を迎え、改めて支えていただいた地元の取引先や歴史をつないだ先輩たちのありがたさが身に染みています。感謝の気持ちを込めて、円定期預け入れ特産品贈呈キャンペーンを2月末まで行います。ー24年の注力分野は。地域や企業のサステナビリティ向上を支援するグリーンローンなどのサステナブルファイナンスは22〜24年度の中期計画で1550億円を計画し、23年末で約1000億円を実行。太陽光発電や工場ラインの設備更新によるCO2排出量低減のほか、広島県でバイオマス発電設新設の融資も行いました。グループのYMコンサルティングと連携して呉市の脱炭素補助金の申請支援を行い、多くの取引先が採択されました。ゼロゼロ融資は約2割が返済を完了し、返済開始先には伴走型支援を行っています。人材の活躍推進は、昨年に年功序列型から個人の特性や能力を重視した人事制度に改め、今年以降、再雇用者の処遇や役職定年の一律適用の見直し、職務を限定した専門コースの新設などを検討しています。YMFGの女性管理職比率は22年3月末で1.2%でしたが23年11月末時点で5.6%まで増え、男性の育児休暇取得も増えています。社員の持株奨励金を5%から10%に上げ、社員の退職時に貢献ポイントに応じて株式を授与する株式給付信託も始めました。ー店舗やチャネル政策は。22年10月にブロック営業体制に移行して、法人営業を基幹店に集約し定着してきました。統合した店舗跡地には当行や地元企業の社員を受け入れる社員寮を3月に開設予定です。顧客の利便性向上を目指し、スマホアプリの機能拡充や住宅ローン手続きをウェブ上で完結できるサービスの導入を実施しました。ー金融商品についてお聞きします。23年のカープⅤ預金は2573億円と前年を約10億円上回りました。また、新NISA制度の開始を受け、若年層からの問い合わせや申し込みが増加しており、資産形成層を中心に新制度の周知に注力しています。今後も顧客一人ひとりに寄り添い、時代やニーズの変化に合わせて、商品・サービスを提供してまいります。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事