日本製鋼所広島製作所は、2024年3月期の売上高が過去最高を更新した。全社でのグループ売上高3000億円を前倒しで達成し、4月から新中期計画が始まった。生産能力増強と生産効率化のため、造粒機や二軸混練押出機などの第10組立工場を着工し、今年12月の完成を予定する。造粒機など樹脂製品機械の部材加工の新機械工場も建設中で、自動搬送機などを導入するスマートファクトリー化に取り組む。24年4月に就任した二宮俊幸常務理事所長に、就任の抱負や運営方針、設備投資の状況などを聞いた。

-就任の抱負をお聞きします。広島製作所の売上高は23年3月期に1520億円となり、24年3月期は1536億円と過去最高を更新しました。33年度に全社グループ売上高5000億円を目標にしており、24年4月からスタートした新中期計画は28年度までの中間期の位置付けになります。広島製作所は射出成形機、押出機・造粒機、フィルム・シート製造装置の主力製品の生産増と、昨年倉庫を新設した防衛機器関連の特機部門の増産対応が命題になります。材料、エネルギー費が値上がりする中で、生産性の向上などの収益力強化が課題になっており、設備投資を含めた工場の再構築、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入などに取り組んでいます。昨年、天井クレーンや自動倉庫などを備え、主力製品の射出成形機部品を集約し、一部組み立ても行う第9組立工場が完成するなど、製作所内の物流の最適化を図っています。受注量が増える中で、「生産能力増強と、ものづくりの整流化の両立」に取り組みます。DXでは、工場の生産状況の見える化のほか、押出機の仕様書や見積書を自動で作成する等の業務のDX化にも取り組んでいます。-工場の設備投資はどうですか。造粒機などの第10組立工場を着工し、今年12月に完成予定です。1部2階建て延べ6342平方㍍で、60/20㌧の親子クレーン、ウォールクレーンなど計16基を設置し、塗装ブースも設け、30人体制で操業予定。築80年超の射出機組立工場跡地に2階建て延べ8828平方㍍の新機械工場を建設中です。自動搬送機などを設置し、自動化・省人化・見える化によるスマートファクトリーで、樹脂機械製品部材の機械加工に取り組みます。-社内の新しい取り組みは。昨年9月から各部門の14人による「組織風土改革プロジェクト」に取り組んでいます。若い人の意見を吸い上げ、上層部につなぐ目的で始めており、5分前集合、会議を効率よく行い実施時間を短くするなどの「会議ガイドライン」作りを行っています。-これまでで印象深い仕事は。液晶パネルや、燃料電池の主要部品セパレータフィルムを造るフィルム・シート製造装置の設計部門に長く従事してきました。2006年に三菱重工業から樹脂フィルム製造装置を事業取得した際に、青山雅之前所長らと共に事業統合で苦労したのが印象に残ってます。製作所のターニングポイントでもあり、広島製作所の製品の柱の一つになりました。現在もフィルム・シート製造装置メーカーとしては国内最大の生産拠点です。若い頃に広島製作所の樹脂・産機設計部で、圧縮機や鉄道の連結機の設計と共に、競馬場の発馬機の設計を担当しました。全国各地の競馬場の発馬機を受注しており、日本中央競馬会の栗東トレーニングセンター(滋賀県)や競走馬総合研究所(栃木県)などで製品テストをしたのが懐かしいですね。楽しかった思い出です。

プロフィル

にのみや としゆき日本製鋼所専門役常務理事広島製作所長兼ものづくり改革推進室長。1967年1月5日生まれ、山口県出身。佐賀大学大学院理工学研究科を修了し、92年4月に日本製鋼所入社。機械電子技術研究所機械技術センターを振り出しに、広島製作所樹脂加工機械部樹脂加工機械設計グループマネージャー、樹脂加工機械部部長兼巻取機プロジェクトチームリーダー、理事広島製作所副所長(技術・品質管理担当)などを経て、2024年4月から現職。趣味はゴルフ。休日は犬の散歩を担当する。

担当記者:大谷

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