スプラウト(発芽野菜)生産で全国トップの村上農園(佐伯区五日市中央、村上清貴社長)は高成分野菜「ブロッコリースプラウト」と豆苗(とうみょう)の販売が伸長し、2023年12月期決算で前年比1.24%増の売上高90億9400万円を計上した。今期は他の葉物野菜の高騰に伴い、植物工場で安定生産する同社製品の価格優位性が高まるとみて、4年ぶりに100億円の大台に乗せる見通しだ。コロナ禍で足踏みしたが、長らく供給不足の傾向にあり、生産センター新設でキャパシティーを高める。

前期決算でブロッコリースプラウトは前年比4.5%と伸長。高齢社会で健康意識がさらに高まる中、がん予防や抗酸化作用が期待できる成分「スルフォラファン」が豊富な点を強みに、習慣的に食べる消費者を増やしている。テレビの健康情報番組や雑誌の特集内容がここ数年のコロナ関連中心から、がん予防や抗酸化など幅広い内容に変わったことも認知度向上の追い風となった。コロナ禍では外食の低調などで、競合する他の葉物野菜の価格が抑えられていたが、5類移行後に猛暑もあって相場が上昇。植物工場で生産するため割安な店頭価格が維持できる豆苗は、9月から直近3月まで好調が続く。〝節約野菜〟として多くのメディアで取り上げられ、今期は大きな伸びを予想。業務用で事前にカットした豆苗の引き合いも多く、加工設備など含む安定供給体制の検討を進める。レストランや料亭向けに風味や色、形が多彩な発芽後2〜3週間の「マイクロハーブ」にも注力。ラインアップを20種類以上に増やしている。15億円を投じて昨年6月、宮城県黒川郡大郷町の敷地6万500平方㍍に新たな生産センターを完成した。今夏には北海道伊達市南稀府町の2万9000平方㍍でも生産センターを稼働する。1期工事の投資額は6億円。東北と北海道まで他の拠点から出荷していた長距離輸送の時間を減らし、より鮮度の高い製品を届けるとともに、物流2024年問題に手を打つ。生産拠点は13カ所目。南は関連会社のある沖縄まで、各地方のほぼ全てで供給体制を築いた。ライセンス供与を通じた海外展開の第1弾として22年9月に台湾のグリーンヴァインズ社がブロッコリースーパースプラウトの現地生産と販売を始め、年間売り上げは1億円規模になった。今期から村上農園にフィー(手数料)が入る。国内生産とライセンス供与先を拡大し、30年に現在の売上高から3倍強の300億円を目指す。

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