スーパーのエブリイ(福山市南蔵王町、岡崎浩樹社長)は農家が店舗に商品を持ち込む「地縁マルシェ」事業を拡大している。受け入れ体制の強化へ、各地域の中核店のバックヤードなどに集荷場を相次ぎ新設。登録生産者を順調に増やし、2010年の開始時の175件から今年で4000件を超えた。

生産者が袋詰めした商品を売り場に並べ、販売実績から手数料を引いた額を農家に振り込む。市場を介さない分、鮮度が高く、甘みなども強い傾向にあるという。目立つよう各店の入り口近くに売り場を設置。客が特定の生産者のファンになり、来店動機になるケースもある。売り上げは開始時の約30倍に伸びた。集荷場は既存の世羅、神石高原の6カ所に加え、1月に業務スーパー庄原店、2月にエブリイ西条寺家店(東広島市)に開いた。今夏開業の業務スーパー久世店(岡山県)にも設ける。冷蔵設備や値札作成機などをそろえ、そこから各店に配達する。スーパーが産直売り場のために集荷場まで設ける例は珍しいという。今後も生産者の多い山間部や島しょ部で積極展開する方針。青果物の卸売市場経由率は年々減っており、直接取引先を確保し将来の安定供給につなげる狙いもある。生産者にとっては、市場に出せない少量や規格外の販路を確保できるほか、自身で値付けをすることから収入増につなげやすい。生産者との関係構築に力を注ぎ、新規開拓を担う本部の十数人に加え、各店に専任担当者を置いて値付けなどの相談に乗る。年3回の表彰など生産者の意欲を盛り上げる工夫も凝らす。生産者を招くイベントを積極的に開き、ファンづくりにつなげる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事