食品中間原料製造の池田糖化工業(福山市桜馬場町、池田直之社長)は、動物性原料を使わない代替かつお節を開発した。同市の箕島工場に専用設備を導入して来年4月をめどに販売を始める。代替肉を扱うメーカーは多いが、かつお節は珍しい。多くの和食に使われる食材で汎用性が高く、インバウンド向けベジタリアンやビーガンメニューなどの採用を見込む。
大豆タンパクを固く成形し、薄く削れるようにした。複数の植物性原料を組み合わせて味や風味、香りを再現。ベジタリアン向けお好み焼きなどの用途を見込み、食品卸などに拡販する。同製品の製造技術から派生した代替かつおだしも検討中。担当者は「何カ月もかけて魚肉を熟成させるかつお節と比べ、早く作れる。世界的にカツオの価格が高騰する中、和食文化の持続にも貢献したい」と話す。世界の人口増に伴ってタンパク質の不足が懸念される中、植物性原料だけで作る代替肉などのプラントベース食品に着目。昨春に専用ブランド「プラントdeリッチ」を立ち上げた。大豆ハンバーグなどに混ぜて大豆臭を軽減する粉末素材や、乳成分を使わないクリーム状ペーストなどを販売している。数年内に同分野の年商数億円を目指す。近年、東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力し、EUなどへの輸出も構想。1904年、あめ製造で創業。国内7、中国1工場を構え、カラメル色素やデザートソースなど幅広く扱う。2023年3月期売上高は548億円。ここ数年で工場の増築など設備投資を強化。乳酸菌など食品用微生物の受託製造にも力を入れている。