呉市は広島大学などと連携して2024年度に世界海事大学(スウエーデン)と国際海事法研究所(マルタ共和国)を訪問し、研究者や留学生の交流を図り将来的な呉市への世界海事大学等の拠点誘致を目指す。今夏から秋までに「海洋文化都市くれ海博2024〜海の魅力を知る、海で世界につながる〜(仮称)」も計画している。
世界海事大と国際海事法研へは呉市長の訪問を検討している。これに先行して、広島大学は23年3月に越智学長が世界海事大を訪問し、同年7月に学術・教育交流を促進する包括的な大学間国際交流協定を結んだ。広島大学は海洋・海事系の新たな大学院学位プログラムを設置し、学術と実学の文理融合による人材育成を計画。内外の大学学部卒業生、海上保安大学校卒業生、アジアの海洋・海事実務経験者、商船高専専攻科修了者などを対象に海事関連の国際法制度、海事行政、経済安全保障、海運・港湾計画、自動運航船など船舶工学、海洋資源マネジメントなどを学ぶことを検討。呉市内に広島大学海洋・海事未来センター(仮称)の新設を計画し、研究、教育、社会連携、交流、海洋リモセン技術センター機能や宿泊施設の設置を見込んでいる。くれ海博は、呉市の大和ミュージアム、広島大学練習船基地などで、自動運航船紹介、水中ドローン体験、セミナー、市民フォーラム、ワークショップ、船の展示・見学会、研究・企業紹介、水産物販売、造船所見学などを企画している。1月31日に呉市、広島大学が事務局となり、中国運輸局、中国地方整備局、広島県、広島商船高専のほか、瀬戸内海汽船など海運・造船関連企業を含め計60社・団体で「呉市・広島大学Town&Gown構想 海洋文化都市くれ推進協議会」が発足。同構想代表者会議は、協議会事務局2者と海上保安大学校、笹川平和財団を加えた4者で進める。構想では他に▽自動運航船、海洋リモートセンシング技術などのDX推進、▽瀬戸内圏の物流・人流を支える船舶の研究(設計・修繕・デザイン・ブランディングなど)、高度デジタルツイン時代に対応した海洋・海事人材育成、▽ゼロエミッション海上輸送などGX(グリーントランスフォーメーション)の推進、▽海洋・海事産業の創出に向けた関連企業との連携、▽海洋・海事の国際的な拠点の形成に伴う連携・協力ーなどを予定している。