いよいよ量産化へ

1人乗り電動モビリティー「ミボット」を開発するKGモーターズ(東広島市)は、米経済誌フォーブスアジアが8月25日に発表した「100 to Watch」の本年度版に選ばれた。アジア太平洋地域の有望なスタートアップ100社を選出する企画で、業界への影響力、事業モデルの革新性、資金調達力といった観点から今回は日本勢の14社が名を連ねる。
楠一成社長は23歳の時に独立を決意し、車両販売・修理のシーエルリンクを2005年に創業。事業を軌道に乗せ、18年に共同経営者に経営権をきっぱりと譲渡し、構想を描いていた現事業を興した。中小企業経営の枠組みから脱し、革新的なアイデア、技術で急成長を志向するスタートアップ企業は、経営に求められている考え方や要素が大きく異なると話す。
「多くの会社は当然、顧客ニーズを踏まえて自社の製品やサービスを提供する。だが、スタートアップに突きつけられる精度、スピードなどは桁違いの世界だと痛感した。自社製品を誰が求め、その人はどんな思想を持っているのか、どういう場面でどんな使われ方をするのか。多分こうだろうという予測を飛び越えて製品コンセプトを練り上げてきた」
投資家に商品、技術を売り込むプレゼンテーションを重ねたピッチを通し、貴重な体感を得たという。29日には自動車部品大手の豊田合成や、リース大手のみずほリースなどから3億6000万円の追加調達を発表し、累計調達額は約24億円に達した。
ミボットの車両価格は110万円で、原付規格のため車検が不要。短距離移動に特化し維持コスト、環境負荷を徹底的に抑える。発売前だが、7月時点の予約台数は2200台に達した。今冬からはいよいよ量産化に乗り出す。
供給網を守る
運送業の人手不足と残業規制で物が届かなくなるのではないかと懸念された「物流2024年問題」。荷主を巻き込んだ効率化が進み、何とか大きな混乱を起こさず供給網を維持しているという。
中国運輸局は「トラック・物流Gメン」活動を通じ、荷主への啓発や取引の適正化で成果を上げる。23年7月の開始から2年間のパトロール件数は1731カ所に上り、悪質な129件を是正指導した。計24回の説明会には荷主含む7900人が参加。貨物課の田中幸久課長は、
「物流法やトラック法の改正について多くの質問が寄せられる。努力義務を守ることはもちろんだが、省力化と併せて労働環境と賃金を改善し、ドライバー志望者を増やすことが本質的な解決になる」
全日本トラック協会の調べで、何らかの運賃値上げに成功した運送業者は94%を占める。しかし希望額がかなった業者は2割にとどまり経営改善に課題を残すが、75%がドライバーの賃上げに踏み切った。
「商品が届かなくなれば荷主も困る。パートナーシップを築けるよう懸け橋となりたい」
運賃値上げと賃上げの均衡に、今少し時が必要か。
ジャズを愛す
経営はむろん、合理性を欠くことはできないが直感力、人情といった数値化できないところでも力量を求められる。どうやって経営センスを磨くのか。
タオル・寝装品などの繊維商社ナカガワ(西区商工センター)の川上陽一郎社長は、〝遊び心〟にあふれたジャズを愛し、広告展開や柔軟な発想につなげている。
「タオルは、簡易なものから肌触りにとことんこだわった高品質なものまで幅広く扱う。寝装品は、メーカーと協力しオリジナル製品を取りそろえている。卸からOEM、PBへと業域を広げ、メーカー機能も高めながら要望に応え、需要を生み出す経営を追求してきた。即興でジャンルも超えながら縦横無尽に演奏されるジャズの懐の深さは経営にも通じるように思う」
2023年の創業70周年を機に制作したテレビCMは、広島市出身のピアニストで作曲家の丈青 JOSEIさん奏でるジョン・コルトレーン「Giant Steps」にのせて、ナカガワのものづくりへの姿勢、未来への歩みを表現したという。海外投資も視野に入れており、ジャズはビジネス構想を描く際の伴走者でもあるのだろう。
カラオケで採用
採用支援のキャリタスが主要2万2400社に調査した結果、2024年度に国内の留学生や海外大学卒の外国人材を採用した企業は前年比3・8%増の25・6%に上った。
人材確保に苦戦する理系・専門分野で外国人採用が進む中、大学院生・理系学生のキャリア支援サービスを展開するアカリク(東京、山田諒社長)は8月25日、広島大学の留学生向け日本語カラオケ大会を開いた。
同社が昨年同大学東広島キャンパス内に設けた就活向け交流空間「アカリクラウンジ」で実施。アジアやアフリカ出身の留学生9人が歌声を競った。同大学教授や卒業生のソプラノ歌手、サタケ(同市)の広報担当者らが審査。日本語の発音や表現に秀でた1〜3位を選出したほか、参加者全員がサタケの会社見学会に招待された。サタケ広報部の西名緯久男次長は、
「近年は日本語能力に関わらず留学生を積極採用。物事に取り組む姿勢や、その場を盛り上げようというホスピタリティーなど人となりが見え、魅力的な学生に出会えた。採用につながればうれしい」
無料でPR動画
今や、動画を活用した採用広報は当たり前になった。さらに最近はAIの力を動員し、わざわざ撮影現場へ出向かなくとも、オンラインなどのヒアリングだけでPR動画を作れるという。
本社を置く千葉県と安芸区矢野南の2拠点で活動するコンサル会社の凛音は、県内7社限定で1分間の動画を無料制作するサービスを始めた。石野千賀社長自ら電話やオンラインで経営者の思いやエピソードなどを取材。その内容を基にドキュメンタリー風の映像を自動生成するという。広島拠点の浜下将大さんは、
「私が撮影に伺う場合もまれにありますが、基本的にはAIで全て完結。シナリオ作成などの事前準備や収録にかかる時間が不要になるため、迅速に動画が作れます。これまで手間やコスト面でPR動画制作に二の足を踏んでいた企業などに、ぜひ無料サービスを試してもらいたい」
9月30日まで、同社ホームページで受け付ける。先着順。