ガソリンスタンドを構えず小型ローリーでの産業燃料配送に特化した業者で中四国トップクラスの広島ケロシンサービス(安佐南区伴西2-3-5、末續斉一社長)は、自社開発の配送管理・電子請求販売管理システムの拡販へ、年内に専門部署を設ける。IT人材を配し、これまで外注していた保守・メンテナンス業務を内製化し、事業の柱に育てる。元々は自社の業務効率化用だったが、同業他社からの引き合いが多かったことから事業化。配送管理システム「ラッドチップ・デリバー」を商標登録し、IT導入支援事業者にも採択された。顧客のニーズを基に、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するDXに取り組む。ドライバー向けのスマホと事務所のPC内の情報をクラウドで一括管理し、給油結果などをリアルタイムに反映。タンクローリーのドライバー側は配送実績から残量を自動計算できるほか、供給先の工事現場などを簡単に登録できるため、代わりのドライバーでも容易に現場にたどり着ける。事務所側は手書き伝票の手入力などが不要で、納品実績を瞬時にデータ化し、請求ソフトに一括入力することで約1.5人分の事務作業を省ける。23年10月開始のインボイス制度を機に、電子請求販売管理システムも製品化した。建設会社などの取引先は請求書などの電子データをメールで受け取れ、現場ごとの経費計算が容易になるという。既に福岡や愛知など全国で計10社に納品した。末續社長は「この業界はニッチなため、使い勝手の良いシステムが少ない。幅広い会社に使ってもらうことで改善・改良を重ね、より良い製品づくりにつなげたい」と話す。