機械式駐車装置メーカーの豊国ファシリティーズ(東広島市西条町御薗宇6400-4、川上健児社長)は、2023年9月期決算で過去最高の売上高41億5300万円(前期比29%増)を計上。マンション向けなどの新規受注件数が横ばいで推移する中、機械式を撤去して平面化するリニューアル市場(鋼製平面化事業)で売り上げを伸ばした。引き続き同事業を強化するほか、昨年8月には鋼材の商社事業に参入。すでに年10億円規模の売り上げを見込んでおり、今期は両事業合わせて50億円超を計画する。同社は総合水門メーカーの豊国工業のライフサイエンス事業部として02年に発足し、10年に分社化。自社工場を持たないファブレス経営(製造以外の設計、営業、据付、メンテナンスに注力)を行っている。業界後発で当初は価格競争などで伸び悩んだが、コストや品質面で勝負できる海外からの調達体制を数年かけて整え、現在は業界4位の年2000〜2500台の機械式駐車装置を販売している。同市場全体の取引台数は、リーマンショック前の年約10万台から直近は同3万台まで減少。市場が縮小傾向にある中、同社は築年数がたったマンション駐車場の平面化需要を見越して、約5年前から鋼製平面化技術を磨いてきた。同業者は平面化工事を外注するケースが多いが、豊国ファシリ社は自社開発しており専門業者と同等の価格競争力があるという。自社施工の機械式駐車場からの切り替えに加え、同業者が外注する案件獲得への営業も強化することで関西地区を中心に鋼製平面化事業の売り上げを伸ばしている。商社ビジネスは、複数ある仕入先から鋼材を調達して協力工場に送るというファブレス経営で培ったノウハウを活用。主に国内から韓国に輸出される鋼材を扱っている。24年1月中旬には豊国グループで初の海外現地法人「ホウコクホールディングスUSA」(テキサス州ヒューストン、社長同)を豊国ファシリ社の子会社として設立。米国での鋼材販売を見据え、現地での情報収集に努めたいとする。立体駐車場にとどまらず、今後は幅広い分野に挑戦するという思いを込め、昨年12月に豊国パーキングシステムから、施設や設備を表すファシリティーズを使った社名に変更した。