ITで1次産業を支援するアンドピリオド(大崎上島町中野、藤中拓弥社長)は、農家など生産者と消費者をつなぐ産直EC市場の成長を見据え、現在2カ所ある物流拠点を2030年に倉庫賃借などで全国100カ所まで増やす計画だ。各拠点では地元自治体が受け入れる、地域おこし協力隊と連携。農水産業従事者に代わってブランディングやマーケティング、商品の発送といった役割を担ってもらう。将来は隊員の直接雇用も視野に入れ、関係人口を増やすことで地方創生へ長期的に貢献したいとする。17年に大崎上島で就農した藤中社長が22年に法人化。主に瀬戸内エリアで「産地コーディネーター」として農水産物のEC販売を支援してきた。同事業はコロナ禍も追い風に伸長する一方、農業従事者の高齢化や人手不足などを受け、ECへ参入する農家の数はまだ全体の数%程度という。同社ではEC市場に大きな伸び代があるとして、物流拠点を26年5月期に5カ所、27年に10カ所と段階的に増やし、30年に100カ所の大台を目指す。また販路拡大に向けては、ECサイト上でAIがユーザーの予算や家族構成などに基づいて最適な食材・献立を提案するサービスの開発も進めている。拠点では産地コーディネーターの確保と育成にも注力する。地域おこし協力隊を抱える自治体と協定を結び、必要な知識などを隊員の任期1〜3年の間に教える。自身も福岡県八女市で隊員経験を持つ藤中社長は「隊員数は増加傾向にあるものの、具体的な活用法や任期満了後の定着には課題がある。現地で長く働きたい人材を当社の地域統括者として採用し、全国へネットワークを広げていきたい。既に高知県大月町と連携の話が進んでいる」と話す。4月3〜17日、最大3240万円の資金調達のため、非上場株式を発行して多くの投資家から少額ずつ資金を集める「株式投資型クラウドファンディング」を実施。投資プラットフォームを運営するイークラウド(東京)のウェブサイト上で投資額10万8000円(4株)〜のコースを用意。金額に応じて同島産かんきつ類や農業体験などの優待が付く。
担当記者:近藤