地域DMOの(社)ディスカバー東広島(川口一成代表)は3月1日、同市内の観光地を相乗りタクシーで巡る実証実験を始めた。同市への観光客は増加しているが公共交通機関が少なく、特に県外観光客の移動課題が多い。面識のない観光客がタクシーに相乗りして酒蔵を巡るサービスを導入して検証するほか、ガイドの有無による影響も調査する。今回を皮切りに来年度以降も実証実験を重ね、継続的に提供できるサービスの開発につなげたいとする。3月30日までの週末に計10日間実施している。土曜コース(1人5400円)は、最大5人で午後1時半に西条駅前を出発し、黒瀬町の金光酒造と安芸津町の柄酒造を回って午後4時に戻る。日曜コース(1人8900円)は最大4人となり、観光ガイド1人が同行。午前11時半に同駅前を出発して安芸津の神社や酒蔵、ランチスポットを巡り、午後2時半に戻る。東広島タクシー、(社)みちしるべ(同市)、日本電気が協賛し、車両手配や予約・決済システム運営などを担う。2024年12月に「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、酒蔵での試飲や酒造り体験など「酒蔵ツーリズム」に注目が集まる。同市は長年にわたって西条酒蔵通りなどを生かした観光促進に力を入れてきた。23年の観光客数は367万5000人と過去最多だったが、県外からの観光客が15・2%、海外からが0・2%と少ない。背景には公共交通機関での移動が不便なイメージがあるとみられる。今回の実験を通じて料金設定、周知の効果、需要など同サービスを展開する上での課題を抽出して検証する。また今後は、サービスの持続可能性を高めるため「推し活」を用いた地方創生をテーマに、人気観光ガイドの同行が生み出す一回性(ライブ)の価値や、ガイドにファンが付くことによる反復訪問への効果も調査したいとする。持続可能な観光振興を目指して20年6月に設立。今年3月5日に同市ブランド推進課、観光協会などと連携してお出かけ観光サイト「ヒガシル」を公開した。これまで市内の三つの観光事業団体が各自で運営していたウェブサイトを一元化して利用者の利便性を向上する。

担当記者:額田

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