こぼれ話 2026.04.06

残された時間は5年

 令和のコメ騒動が一段落した矢先、原油高騰が世界経済を揺るがす。国の根本である「食料」と「燃料」調達に大きな不安、難題を抱え、どう解決するのか。もはや先送りは無責任。日本はその時、何をなしたか、やがて次代から厳しく問われることになる。

 先祖代々の水田を守り継ぐ農家に頼ってきたコメ作りに赤信号が点滅。コメ作りに励む農家の実態がどれだけ理解されているだろうか。

 コメ作り農家の全国平均年齢は70歳を超える。農林水産省は「今後10年で3分の1の水田が担い手不足によって耕作放棄地になる」と指摘。カロリーベースで約38%の低水準にとどまる日本の食料自給率のうち、主食のコメは唯一100%。食料安全保障を支えるコメ作りの基盤が果たして維持できるのか。

 医療関連情報サービスのデータホライゾン(西区)を創業し、上場を果たした内海良夫さん(78)が1月19日付で「(社)若者米作り推進協会」(中区東千田町)を設立。

「コメ作りは、これまで親から子、子から孫へと受け継がれたが1970年から50年以上にわたる減反政策(生産調整)の影響を受け、後継者を育てる意欲がそがれてきた。将来設計が描けない。担い手が空洞化し、世代間継承の糸が切れると先々が危うい。今後5年間で離農者が続出し、後継者不在は全国規模で広がると危惧されている。この5年が水田継承のラストチャンス。いまが正念場だ」

どうするか

 若者が選ぶコメ作り。これを目的に掲げる同協会は代表理事の内海さんほか、発起人に中国NBCの元専務理事だった高橋昭彦さん、司法書士の久保香織さん、広島大生物生産学部の細野賢治教授、庄原実業高校の福嶋一彦校長らが名を連ねる。県北の自治体などへ趣旨を伝え、賛同者を増やしている。若者の新規参入を軌道に乗せるために、まずは生活基盤の確保や安定収入保証を可視化し、成功事例の提示などに取り組む。

「何より、国や民間による支援体制の整備が必要で、個人では限界がある。国策を反映してか、多くの農家は〝作ること〟に専念し、経営視点が欠けているように思う。協会は農地の借受・再配分による新規参入の支援、農機具の共同利用といった初期投資を抑える仕組みづくりなど、就農前から独立までの伴走支援などを担う。国や自治体には農業高校・大学にコメ作りに特化した基礎教育の再構築、農地集約・マッチングの仕組みといった中山間地を守る支援制度拡充を期待している」

 農業高校の新卒者らに会社勤め並みの年収を3年間支給する。その間に農業経営者として自立を促す。子への継承がかなわず、2年前に義弟はコメ作りを断念。担い手を育てるビジネスモデルの確立が必要と考えた。

 日本の農地は平地6割に対し中山間地が4割。広島県は7割が中山間で、耕作放棄が増え続ける。中山間での損益分岐点は一人当たり耕作面積約6㌶。いくらスマート農業が推奨されても担い手がいなければコメ作りは持続できない。これまで企業経営者として社会課題に着眼し、ジェネリック医薬品の通知サービスや効率・効果的な保健事業のデータヘルスを構築し国、行政に働きかけてきた。

「問題は中山間地。残された時間は5年しかない」

  国を動かす意気込みだ。瑞穂の国のご飯はうまい。

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