中小企業が生き残る チーム再編術
商品やサービスを絞り込んだターゲットに効率よく売り込む仕組みづくり。マーケティングを端的に言えばこうなりますが、見落とされがちなのが、アプローチをかける人、つまり営業チームのクオリティです。
例えばあるOA機器を扱っているとします。少し前は、機器のしくみや使い方、競合との優位性を理解していれば、ある程度のオファーはできました。しかしオフィスのDX化やPCを基盤とするデジタルシステムへの移行に合わせ、ITはもちろんAIなどの最先端の知識も幅広く持ち合わせていないと提案どころか会話すら難しくなっているのが現状です。しかもこの分野は進化のスピードが目まぐるしく、頻繁に勉強会を開いたところで営業チーム全体が高水準の知識を維持し続けるのはまず不可能。40代以上を中心にかなりの脱落者が出て、結果的に離職やリストラも引き起こしています。
そこで提案したいのが営業チームの再編です。よく言われる業務の「標準化」「平準化」とは別次元の発想で、個々の適性をしっかりと見極め、まずはその人が得意なこと、気持ちが向いていることを優先してやらせる。逆に極端に不得意なことはやらせない。ジョブ型というほどではないものの、ある程度は割り切ってチームを組み直すのです。野球を見れば分かっていただけるでしょう。ファースト、セカンド、ショート、サードという具合に、同じ内野でありながら求められる技術は似て非なるもの。大谷選手のような超一流ですら「二刀流」をこなすのがやっとなわけで、あれもこれもと高いレベルで要求するのは酷です。頑張ったらやれるという考えは幻想。中小企業が時代のスピードに付いていくにはこれしかない。
まずは個別ヒアリングから。セールストークがうまい、配送が確実で客ウケがいい。愛想は悪いが修理やメンテナンスはハイレベル、お客さまが認識できてないニーズによく気づく。一人一人と向き合い、話をしてみると意外な強みも見えてきます。その上で今は苦手でも努力して新しいスキルを身に付けたいという声があれば、その人だけの勉強会を開いてあげるのです。もちろん、これは暫定的な措置ですが、ビジネスは常に変動する世界であり、1年か半年、あるいはもっと短いサイクルで適宜再編してもいい。広島の経営者に多い現状維持志向は、下りのエスカレーターに乗っているのと同じだということを認識していただきたい。
社内チーム再編は元々私の専門分野ではなく、クライアントに相談を受けて「試しにやってみましょうか」的に始めたものですが、すでに数社で成果が出て、社内の「モチベーションもバクあがりした」と喜ばれています。それで満足せず、今後も適宜、チームをアップデートし続けていくことの重要性は言うまでもありません。中小企業は個々に目が行き届くうえ、小回りも聞く。臨機応変に対応できるという点では大手よりもはるかに有利と言えます。いすれにせよ、古いシステムにさしたる理由もなくしがみついている経営者の事業は、規模の大小に関係なくいずれ顧客から敬遠されることになるかもしれません。フェーズは変わりました。備えましょう。
PROFILE
小林 カズヒコ
コピーライターやアートディレクターを経て、中四国初の本格的なマーケティングコンサルに転身。中小企業経営者や個人事業者へのコンサルほか、金融機関からの依頼で経営が悪化した企業への助言も実施。診断や相談先メール(匿名不可)marketingdefense@harukomania.com