巻頭特集 2026.03.16

インド市場が注目 進出・事業拡大の動き

 近年、インドは人口増加と経済成長を背景に、世界有数の成長市場として注目を集める。県内企業でも製造拠点の設置や販売・調達ネットワークの構築、現地企業との協業など、インドを舞台とした事業展開が広がりつつある。地元経済界では2024年に広島日印協会(松本和久会長=サタケ社長)が発足し経済・文化交流を進めるほか、南部のタミル・ナードゥ州と経済交流に関する覚書を結ぶ広島県も県内企業の進出を支援するなど、官民で同国との関係強化が図られている。
 一方で、同じアジア圏でもタイやベトナムなどと異なる独自の文化や商習慣を持ち、進出の難しさを指摘する声もある。現地で事業を展開する企業や進出を目指す企業、支援企業などへの取材を通じて、インド市場の可能性と課題をひも解く。

世界一の人口で成長続く

 インド経済の特徴の一つが人口だ。2024年で約14億5000万人(外務省)を抱え、23年に中国を抜き、世界1位に躍り出た。さらに人口構造が安定しており、今後も生産年齢人口は増加する見込み。実質国内総生産(GDP)成長率は約6・5%と日本のおよそ1%を大きく上回る。

 ひろしま産業振興機構が県内企業の海外展開状況をまとめた「海外進出企業ダイレクトリー2025年」によると、自動車や機械などのものづくり企業を中心に県内18社が進出。直近では、昨年末に北川鉄工所(府中市)が旋盤用の工具チャックを造る新工場を南部のカルナータカ州に稼働させたほか、物流のロジコムホールディングス(東区矢賀新町)は現地の物流会社をM&Aで買収し、同国内の物流や輸出入の機能を強化した。100円ショップ大手の大創産業(東広島市)は2024年に現地法人「Daiso India」を設立し、出店と製造の両面で事業の拡大を進めている。

 自動車業界では、現地の乗用車シェアの4割を占めるスズキ系のマルチ・スズキの要請を受け、ヒロテック(佐伯区石内南)やペンストン(安芸区矢野新町)など複数の県内自動車部品会社が進出。同社の増産に対応し、工場を新設する動きもある。

 各社の進出の狙いは、急拡大する現地マーケットの開拓にとどまらず、優秀な人材・エンジニア能力の獲得や、インドを拠点にしたさらなる海外展開などさまざまだ。

 海外展開支援に力を入れる、広島銀行の国際ソリューション室の新宅令康室長は「寄せられる海外進出に関する相談のうち、インドが1~2割と最も多く、県内企業の経営者の注目度は高い」と話す。同社は進出済みの県内企業18社(24拠点)と取引を行い、昨年4月から現地に社員を1人派遣。県内企業のさまざまな事業ニーズに対応すべく、現地ネットワークの構築を進めている。一方で「中小企業の進出には一定のハードルがあるのも事実。黒字化までに相応の時間が必要で、綿密な戦略と資金力、人的リソースなどが必要なようだ」と指摘する。

現地スタートアップと連携

 広島県は2024年9月までにインド関連セミナーを4回開催。同年3月には住友商事、現地の工業団地運営会社の2社と、県内企業の進出協力に関する協定を結んだ。

 また本年度は県内企業と現地スタートアップなどをマッチングする実証事業を展開。応募20社程度の中から野村乳業(府中町)、中外テクノス(西区横川新町)、三工電機(呉市)を採択し、事業コンセプト策定から現地視察、マッチングなどを伴走支援した。同事業を受託したフォースタートアップス(東京)の加留有也佳さんは「参画企業の当事者意識が高く、3社がわずか7カ月の間に自発的に2度の現地視察を実施。各社で連携合意といった目に見える成果につながった」と手応えを話す。

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