巻頭特集 2026.03.16

進出20年、治具、部品など生産拡大 クルマ需要・人材が魅力、南北で多様性

ヒロテック/ 羽山 尚宏 取締役

 ヒロテックはグローバルな自動車部品サプライヤーとして海外展開を進める中、約20 年前に県内企業の中で先行してインドに進出。現地法人2社の3工場を構える。2005年に設立した合弁会社ヒロテックインディアで初代社長を務めた羽山尚宏取締役(=広島日印協会理事)にインド市場の特徴や商習慣の違い、今後の事業展望などを聞いた。

インド市場の特徴

 インドはEUと同じくらいの面積で、南北で別の国と思うほど文化や言語、食べ物が異なるなど多様性がある。北部は派手で陽気、南部は堅実でまじめ、おとなしい印象。「人口ボーナス期」を迎え、今後も経済成長が期待できる。自動車需要は大都市周辺にある地方都市や農村部で大きくなる見込みで、インドの成長力を取り込みたい。

各地域の違い、商習慣の特徴

 金型・治具装置の製造を手掛けるヒロテックインディアが構えるタミル・ナードゥ州は南4州の一つ。ドラヴィダ民族地域でヒンディー教育に反対していた州で、大家族で同居し家族の意見が子に影響する風土がある。

 工科大学、専門学校がたくさんあり理系人材が豊富なため、ヒロテックインディアはロボットを社会貢献の一環で学校へ提供し授業で使ってもらい、また企業内インターンシップを活用して有望な人材を獲得している。ヒロテックの本社工場、ヒロテックアメリカで2年単位の長期研修を行い、エンジニアや現場の中心人材を育成している。

 同エリアのビジネスチャンスは大きい。EVで新たな市場が生まれており、日韓米欧やインド地場自動車メーカーに加え、ベトナムや中国からの進出もある。インドは人件費が安く、自動化の本格化はこれからで、治具装置ビジネスのチャンスは大きい。難点としては工業団地が少ないため、土地の選定・購入が難しく、インフレ率が高い点が挙げられる。

 部品量産のヒロテックマークエキゾーストシステムズ社が工場を構える北西部エリアのグジャラート州は、外注部品の品質が日本に比べ不安定で、ポイントを押さえ全数検査などの対応が必要だ。グジャラートの人々はビジネスマンとして優秀でおおむね親日家も多い。スキルを問わなければ人材を確保するのは容易な一方で、退職リスクが高く、常に採用を続けている状況だ。

 商習慣では日程・納期に対して最短スケジュールを提示することが多く、遅延リスクなどを加味しなければならないのが日本との大きな違い。グジャラート州は土曜日も通常出勤し、アルコールが制限され娯楽が多くなく、その中でも生き生きと生活している印象がある。

今後のインド事業の展望

 20年を振り返ると、良いパートナーに恵まれ事業拡大ができた。金型・治具装置事業はインド国内とアジア、国内外のヒロテックグループ向けをメインに、既存顧客と新規EVメーカーなどへの販路拡大を進めている。部品量産事業はインド国内の生産台数が増加傾向で、市場拡大に合わせ事業を拡大したい。EV、ガソリン車共に新たなビジネスチャンスを模索していく。

《工場概要》
ヒロテックインディア
 金型・生産設備製造を手掛け、工場は敷地2万8300平方㍍に一部3階建て延べ1万6400平方㍍。従業員数は約650人、2024年12月期売上高は4300万米㌦(約61億円)に及ぶ。2000年問題を想定したシステム改修をきっかけに、インドのIT会社KG社の関連会社KGISLと縁ができ、05年に合弁会社を設立。当初はヒロテック子会社のヒロテックアメリカが51%を出資し、09年に100%出資へ。12年にはヒロテックの土地取得と工場建設で追加出資し、ヒロテックから社長を派遣した。現在の資本金は1200万㌦(約17億円)、出資比率はヒロテックアメリカ60%、ヒロテック40%。
 14年に新工場を完成し、組み立て設備製作事業を本格化した。金型製作事業に参入するため、18年に工場を増築しトライプレス、大型機械を導入。翌年に金型製作を始めた。24年には設計・エンジニアリング領域の能力拡大のため事務所を増築した。

ヒロテックマークエキゾーストシステムズ
 資本金は4億インドルピー(約6・8億円)。工場は敷地1万7000平方㍍で一部2階建て延べ6800平方㍍。従業員は140人で、主に排気系部品を製造する。24年12月期売上高は10億1700万インドルピー(約17億円)。
 マークエキゾーストシステムズ社に13年から技術支援を始め、18年に排気系部品量産を受注。19年に現法人を設立し、排気系部品の生産をスタート。24年にドアサッシュ、ステアリングサポートメンバーなどの生産を始め、今年5月から排気系エキゾーストマニホールドの量産に乗り出す。

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