分電盤・遮断器など製造のテンパール工業(南区大州、佐久間由峰社長)は、直流の地絡(漏電)箇所探査装置の販路拡大に乗り出す。設備を活線(運転)したまま正確に故障点を特定できるのが特徴で、2024年末に「広島県建設分野の革新技術活用制度」効率化部門に登録済み。社会インフラ施設の制御電源ほか、工場、プラントなどの需要を見込む。
従来は電力会社の発電所・変電所向けだったが、老朽化が進むインフラ施設などにも有用と判断。ダムや下水道の制御電源は通常、停電時でも作動するよう蓄電池と相性の良い直流の制御電源を用いるが、回路の切り分けや絶縁抵抗計(メガ測定)を使って地絡探査を行う際は電源を落とす必要があった。加えて、電気設備の数が多く、広範囲にわたる回路は大人数と長時間を費やしても故障点の絞り込みまで特定が難しく、修繕に着手できないことがあるという。同社の探査手法は専用の信号発生器と探査器を組み合わせて使用。ブザーが鳴る回路を追って行き、地絡〝あり〟から〝なし〟に変わる最終地点を探す仕組み。数人程度の短時間作業で特定でき、作業負担を抑えられる。また、日常的に点検が行えるため、電路の絶縁状態を管理でき、健全性を維持できる。環境への取り組みも推進。本店と可部工場の2カ所で使う電気は、21年4月から再生可能エネルギー発電所の電気と「トラッキング付非化石証書」を組み合わせた「再エネ特約」を中国電力と結び、使用する電気のCO2排出量をゼロにしている。
担当記者:高見