広島地区の金融機関の2024年9月中間決算は、前年同月比で預金残高増が12機関中6機関に止まった。広島銀行、広島信金、広島みどり信金、市信用、県信組、中国労金の6機関が前年同期を上回った。懸賞金付き定期預金などで増加した一方、金利上昇局面でネット預金との競合もあった。貸出金残高はしまなみ信金、両備信組、備後信組を除く9機関で前年同期を上回った。増収増益(利益は経常と純利益)は、広島銀行と広島市信組の2機関だけだった。

【収支状況】

広島銀は貸出金収支と有価証券収支の増加で、本業の収益を示すコア業務純益が前年同月比38億円増。有価証券関係損益は減少したが、コア業務純益の増益に加え与信費用が減少し、純利益は前年同月比5億円の増益になった。もみじ銀は経常利益が貸出金利息や有価証券利息配当金の増加で資金利益が増えたものの、与信関係費用の増加などで、前年同月比12億900万円減少。純利益も19億9600万円減に。広島信金は有価証券利息や役務取引等収益の増加などで、経常収益が増収。預金金利引き上げによる預金利息増、給与体系見直しに伴う人件費増で、コア業務純益は1億2300万円減、純利益も8200万円減になった。呉信金は貸倒引当金戻入益の減少を主因に、経常収益は3300万円減。純利益も2200万円減に。しまなみ信金は政策金利引き上げに伴う預け金利息や有価証券利息の増加等で資金運用収益が前年同月比8900万円増加したものの、前年度に投信等の売却益2億4200万円の計上があったため、減収に。経常費用は預金利息が4800万円、経費が5100万円増えたものの、前年度は投信の売却損2億3700万円の計上があったため1億1300万円減少。経常利益は前年同月比2600万円減、純利益は3000万円減益となった。みどり信金は貸出金の増加で貸出金利息が前年同月比100万円増え運用する社債などの利息収入が同2000万円伸びたものの、前期計上した投信解約益のはく落や預金金利引き上げによる預金利息が1000万円増加したことにより減収減益となった。市信用は経常収益が21期連続の増収で過去最高を更新し、初の100億円の大台を達成。経常利益、当期純利益も過去最高を更新。コア業務純益は1・5%増の59億5900万円と22年9月期に次ぐ過去2番目になった。県信組は貸出金利息増などで増収だったが、預金積金利息や人件費増で経常費用が1億1600万円増え減益になった。両備信組は市場金利上昇による貸出金利息の増加などに加え、貸倒引当金の戻入があり、純利益は前年同月比2000万円増加した。備後信組は貸出金が減少するなどして減収。経費節減などで経常・純利益は増益になった。広島商銀は貸出金が前年同月比22億1500万円増えたものの減収減益になった。中国労金は1年間で貸出金が208億4600万円増え増収に。経常費用が3億円増え76億円となり、経常・純利益共に減益となった。

【自己資本比率・不良債権比率】

自己資本比率は、しまなみ信金、みどり信金、市信用など8機関が前年を上回った。不良債権比率は広島銀行、呉信金など3機関が改善した。

担当記者:大谷

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