作業用手袋など製造販売のアトム(竹原市、平雄一郎社長)は、折りたためて携帯しやすいレインブーツ「Pokeboo(ポケブー)」の販売が好調だ。2024年は国内で前年比30%増の約2000足、海外で25%増の5000足を売り上げた。通勤やアウトドアレジャー向けに突然の雨対策グッズとして人気という。昨年末までの累計販売数は3万足で、30年までに10万足を目指す。田植えなど従来の業務用とは異なるコンセプトで、日常使いしやすいコンパクトかつ軽量な商品を開発し、17年に発売。1足500㌘で靴底部は長さ30×幅10㌢。膝下までをカバーするアッパー部を丸めると高さを4㌢まで折りたたむことができ、専用の袋に収納する。都市部のオフィスワーカーがゲリラ豪雨などの対策に利用する想定だったが、フェスのような野外イベント、ガーデニングでも需要があるという。金銭的にゆとりが出てくる30代以上がターゲットで、国内で1足7000円〜1万円、19年に進出した海外では1万5000円前後で流通している。海外進出はJETROの新輸出大国コンソーシアムの支援を受けた。初年度は米英の代理店を通じて100足弱の販売にとどまったが、その後も海外展示会に積極的に参加して一般への認知向上と代理店網の拡大を継続。昨年までに北米、欧州、アジアなど10カ国に展開し、年間海外販売数を約50倍以上に伸ばした。中東ではマリンスポーツやクルーザー内の上履きにも使われている。海外営業課の森下哲樹課長は「海外ではレインブーツは大きく重たいという常識があったが、ポータブルな同製品がそれを覆した。売れるからといって大型ECサイトへ安易に展開せず、原則は国ごとに代理店1社と契約して代理店直営ECサイトなどで適正な価格で扱ってもらえるよう努めている。世界中の誰もがポケブーと聞いて折りたためる長靴を思い浮かべてくれるように事業展開を進めたい」と話す。1924年創業。プロ向けの作業用服飾品のほか、ガーデニングやアウトドアレジャー向け商品も手掛ける。24年7月期の売上高34億円。

担当記者:額田

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