社労士の労務監査業務をクラウド上で支援するサービス「ヨクスル」を手掛ける全国労務診断協会(中区中町、今田真吾社長)は同サービスの拡販に向け、KiteRa(キテラ、東京)に株式譲渡しグループ入りした。キテラは独自の「社内規程DXサービス」を多くの企業や社労士に展開しており、ともに企業統治や法令順守において重要な分野を得意とする。タッグを組み、現在全国100の社労士事務所で導入実績があるヨクスルを今後1年間で新たに300先へ売り込む計画だ。
全国労務診断協会は社会保険労務士法人サトー(同所在地)の関連会社として2019年に設立。今田社長はサトーの経営執行役員も務める。複数の社労士法人が蓄積した労務監査の知見と実績を基に開発されたヨクスルは、社労士がクラウド上で450以上の診断項目に答えると自動で担当企業の労務リスクを可視化するほか、課題へのアドバイスなども生成。企業のガバナンス強化支援に取り組むキテラが、自社サービスとの相乗効果を見込み昨夏ごろにグループ入りを打診したという。同社による他社の買収は初で、買収額は非公表。
キテラは企業向けの「キテラビズ」と、ヨクスル同様に社労士向けの「キテラプロ」を手掛け、昨年末時点の累計導入実績は4000先を超える。キテラプロとヨクスルを一体的に提供することで、社労士は担当企業の社内規定だけでなく時間管理や人材採用、賃金といった労務面を含む幅広い支援サービスが行えるようになる。全国労務診断協会の今田社長は「近年は不祥事が企業に与える影響が大きいほか、副業や兼業、リモートワークなどの普及で管理の難易度も増している。株式公開やM&Aでの売却を考える場合はもちろん、そうでない企業も労務リスク管理は重要になる」とコメント。また昨年6月に改正された社会保険労務士法の中で「労務監査に関する業務」が業務として明記されたため、社労士側からも支援サービスのニーズは高まる見込みと話す。
今田社長は他に、AIを活用した給与計算アウトソーシング事業のゼネラルを24年12月に設立。同年度、県が急成長企業の創出を目指すプロジェクト「ひろしまユニコーン10」に採択され、25年6月から本格始動している。