東広島市は4月、企業の出資で地域の妊娠期夫婦に無償講座を提供する官民共創型の子育て支援を始動する。妊娠期からの子育て支援を手掛けるNPO法人ママライフバランス(名古屋市、上条厚子代表理事)と連携し、産前教育プログラム「親のがっこう」を開く。育児期に理想の働き方ができていない社員は離職意向が24・3%高い38・6%に上るとの調査(厚生労働省)もある中、企業の〝参画型〟出資では職場づくりや人的資本経営につながる研修を社員に受けてもらい、人材定着を促す。
同市が社会課題解決を目指す共創型起業プログラム「円陣」で昨年9月に採択されたプロジェクトを社会実装する。「親のがっこう」は妊娠中から産後まで伴走する育児スクール。自治体の両親学級がおむつ替えなど実務を教えるのに対し、夫婦関係の構築といった産後うつ予防に軸を置く。同市は昨年11月〜今年2月、こども家庭課が開くパパママ教室で妊娠期夫婦約80組に同プログラムを試験実施。今後は市役所の妊婦登録窓口を通じて年約1200人全員へ案内したいとする。
運営費は、同団体の法人向け研修を受けた企業からの寄付などで賄う。出資形態は①社員向け研修費の一部を寄付する参画型、②スポンサーとしての協賛型。出資すれば同プログラムのウェブサイトや配布物に会社ロゴを掲載でき、協賛型でも若年層への露出拡大、CSRのアピールに生かせるという。現在、半導体関連企業、食品加工機械メーカー、住宅会社など市内3社が参画見込みで、4月までに10社を目指す。上条代表は「行政の予算は予防支援に割きにくい実情があるが、産後うつは女性で3人に1人、男性でも10人に1人が患う社会問題。子育て世代を地域企業が支えるスキームを広島から全国へ広めたい」と話す。秋田市など他の地方自治体からも同様の制度構築へ相談を受けているという。
ママライフバランスは2016年に起業し、20年にNPO法人化。延べ2万人以上の育児支援実績を基に同プログラムを開発し、中部電力、ベネッセなどへの研修実績を持つ。代表は厚生労働省の共育(ともいく)プロジェクト推進委員も務める。