その他 2021.02.25

第1回 広経大教授が語る デジタルマーケティングの現在と未来

デジタルマーケティングとは

 広島経済大学でマーケティングの教授を務める宮田庄悟です。今月からデジタルの話題について連載させていただきます。
 デジタルマーケティングはどのようなものでしょうか。最先端のスタートアップ企業や、従来のマーケティングを否定するような手法なのでしょうか。そうではありません。顧客に価値を提供し維持するという基本に沿って進化したものです。マーケティングは常に環境に適応して最適なメディア、手法を事業活動や販売に利用してきました。現在はデジタル技術を取り入れてより効率的に、正確に施策を講じられるようになりました。こうした技術がマーケティングにどう変化を与えているのか。次の5つのポイントが挙げられます。

①メディア環境

 スマホの普及に伴い、インターネットはあらゆる場所で利用されるようになりました。総務省の通信利用動向調査によると、ネット利用者は2018年から19年にかけて10%増え、89.8%に達しています。メディア接触時間もテレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス4媒体が減り、デジタル端末が増えています。広告の接触機会を増やすためには、ネットの利用が必須です。また、ネットでは双方向のコミュニケーションが可能となり、問い合わせや注文にも即時に対応できます。このような環境下で19年にはネット広告費が、テレビ広告費を追い越しています。

②消費者行動の変化

 コミュニケーション、検索、メディア視聴、購買、決済までを続けて行うような消費者行動が現れています。友人から聞いたり、メディアで見た商品を調べてその場で購入したりする動きが増えています。さらに、価格やスペックなどの情報が簡単に手に入ることで、価値や価格に対する消費者の判断はシビアになり、対応が求められています。

③ターゲティングの精緻化

 消費者のウェブ上の行動履歴分析を基に、関心や購買の可能性、属性などを高い精度で分析でき、商品開発や販売促進が図れます。以前は広告企画の際に、メディアの向こうのオーディエンスを狙いました。一方、デジタルマーケティングではデータを基に、オーディエンスを直接特定した施策が講じられます。最適なターゲットに対して最適なタイミングで最適な内容の広告を配信できます。

④広告効果測定

 ネット広告ではマス広告の時代にできなかった効果が正確に把握できるようになりました。効果をすぐに知ることで、広告活動を迅速に、柔軟に変更する運用型の広告活動が可能になりました。

⑤予算の弾力性向上

 消費者ニーズや嗜好が多様化。ネット広告であれば、多品種少量販売に対応するためにターゲットや地域を絞って、効率の良い小規模な広告が実施可能になりました。
 以上のように、デジタル要素を考慮しないマーケティングは、今や有効ではありません。デジタル技術は、これまでの施策・手法を変え、ビジネスに欠かせないものです。価値創造や顧客維持などマーケティングの基本にデジタル技術を取り入れ、効率的に行うことが一般的になったのです。しかし、マーケティングの戦略立案や企画のプロセスは変わっていません。テレビドラマの大ヒットが生まれるように、マス4媒体が消えた訳ではありません。広告を計画する際にも、ネット広告の長所と限界を知り、マス媒体広告と組み合わせて使うことが重要です。
 次回からはデジタル技術とマーケティングについて、もう少し具体的に、お話ししていきたいと思います。

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PROFILE
宮田 庄悟(みやた しょうご)

宮田 庄悟(みやた しょうご) 1956年1月3日生まれ、和歌山県和歌山市出身。早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業し、79年4月に電通入社。本社マーケティング局、雑誌局、営業局などで広報、ダイレクトマーケティング、スポーツなど幅広い分野を経験。2014~19年、「ラグビーワールドカップ2019組織委員会」で広報、マーケティングなどを担当。20年4月から現職。

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