マツダ(毛籠勝弘社長兼CEO)は原価低減活動の一環として、今春に国内や米国などで発売する新型CX-5で「カスタマーバリュ―(顧客価値)」に重点を置く。カーナビなどを表示する大型ディスプレーや高度な音声認識機能といった、ユーザーの需要が高い機能に集中投資しつつ、比較的ニーズの少ない部分は効率化。訴求力を高めながらトランプ関税によるコスト増を打ち返すほか、電動車の開発・量産に向けた原資の確保にもつなげる。
2025年3月期の営業利益1861億円に対し、今期は関税による減益1625億円のほか、出荷台数の減少や原材料費の上昇などを含めたマイナス要因は2155億円を予想。一方でコスト改善や固定費の削減などによりトータルでは500億円の黒字を計画する。その鍵の一つとなり、来期以降の成長戦略の中核も担うのが新型CX-5だ。
CX-5は同社のグローバル販売の4分の1を占める最量販車種で、新型は昨年末に欧州、今年1月には米国向けの生産を本格開始した。国内向けは4月からを予定する。乗り心地や室内の広さといった点の改善に加え、新しい電子プラットフォームを採用。スマホとの連携や車両設定機能の集約、対話型AIアシスタントの搭載などを踏まえて大型かつ高性能なディスプレーを求める声は多く、上級グレードの画面サイズは現行型の10・25インチから15・6インチになると見込まれる。毛籠社長は「新型CX-5の出荷を当初より遅らせてでも、電子プラットフォームの仕上げには時間をかけた」と自信をにじます。
半面、コスト圧縮のため、例えばグレードの選択肢を減らしたほか、車の細かな部分でも変化があるという。一例としてジェフリー・エイチ・ガイトンCFOは「ステアリングに4カ所ある革の継ぎ目の部分は、現行型では水平だったものを斜めに改めた。内装デザインとの調和のため、あえて手間のかかる加工をしていたが、そこまでこだわるユーザーは少ないと判断した」と話す。

また、従来は複数社になることが多かった車体用の鋼板の調達先を日本製鉄1社に絞り、効率的な発注や開発につなげている。
マツダの今期業績予想は、売上高が前期比4%減の4兆8200億円、純利益は同82%減の200億円。グローバル販売は同2%減の128万台を見込んでいる。