交通安全施設工事などの宮川興業(安佐南区大町西、宮川晃一社長)は、自動運転をはじめ車線逸脱防止など先進運転支援機能のインフラとして重要な役割を担う道路区画線の診断システムを海外展開する。区画線のかすれや消失はAIの検知と解析に支障が出るため、将来にわたり道路整備が進むと予想される。特に自動運転の開発や実証で先行する米欧を中心に需要を見込む。

同システムは専用アプリを入れたスマホを車のルームミラーの横などに取り付け、走行するだけで区画線の剥離状況を分析できる。昨年、区画線用の塗料原料のガラスビーズで世界大手の米ポッターズ、区画線の施工・調査のスウェーデン企業と代理店契約を結んだ。同年末の国際道路連盟(IRF)「道路功績賞(GRAA)」技術部門の受賞を追い風に、両社と連携して北米、ヨーロッパ、オーストラリアなどの展示会に出展していく。併せて海外の多様な区画線の情報を集め、診断の精度を高める。国内版は99万円で海外版は定額制を検討。2026年5月期に海外売上高1億円を目指す。同システムは自社工事の効率化に向け、長岡技術科学大学(新潟県)、グループで同業の宮川興業(東京)と共同開発。18年から同業や官公庁、自治体に提供している。AIが道路の写真から区画線を認識し、剥離率を算出。地図上に状況を色分けして表示し、塗り替えの時期や区間の判断に生かしてもらう。目視で約14日かかっていた100㌔分の調査を3日で完了できるという。21年に国交省のインフラメンテナンス大賞、23年にインフラDX大賞も受けた。同社の年商は30〜50億円規模。堤防、砂防施設などの公共土木工事が主力。

担当記者:大島

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