熊野筆製造販売の広島筆産業(安芸郡熊野町中溝4-7-24、城本健司社長)は、化粧筆の自社ブランド「kimeri」シリーズの販売を3月から本格化する。石川県の山中漆器の生産過程で出る廃材などを筆の軸に活用。経済産業省の2021年度伝統的工芸品産業支援補助金に採択されて海外市場の開拓を目的に商品開発を進めてきた。既に商標や意匠登録を終え、海外のバイヤーなどにアプローチしていく。特にユニークな形状の「FOLDING BRUSH」はケヤキかウォールナットを使った輪っか形状の持ち手部分に、折りたたんだブラシがすっぽりと収まる。ケースに入れなくても穂先が保護でき、穂先を洗った後は輪っか状の持ち手をフックなどにかけて乾かせるデザインにした。穂先には精選した山羊毛を使用。折りたたむと幅40×奥行き35 ×高さ85㍉、使用時は穂先分で133㍉の高さになる。書筆を主力に今年で創業155年を迎える。近年は書道人口の減少傾向が続き、新たな販路開拓と製品開発を求められていた。kimeriシリーズは「Ai brush」、「バレリーナ・コレクション」に続くブランドで、軸をアイスクリームコーンに見立てた形状にデザインした化粧筆もラインアップする。ケヤキ木地は、熊野筆と同じ伝統的工芸品の山中漆器の廃材を再利用。昨年1月に仏パリであった欧州最大級のインテリア・デザイン見本市メゾン・エ・オブジェ パリに出展。ギフト市場を狙う。