広島三越 / 和田 金也 社長

伊勢丹新宿本店が昨年度過去最高の4212億円を売り上げ都心店が勢いづく一方、地方は百貨店のない県が4県に。広島三越は約1万6000平方㍍の小型店を逆手に独自の売り場を構築してきた。三越伊勢丹HDの地域事業会社として都心の品ぞろえを強みに〝個客業〟を柱とする経営戦略を聞いた。
百貨店業態の今後をどう見通し、どこに活路を求めていますか。
今のままだと地方の百貨店は残っていけない。人口減少は既存ビジネスの足下を揺さぶり、小売り流通界は大規模駐車場を備えた郊外のショッピングモールやECの台頭、手頃な価格帯でライフウェアなどをそろえるユニクロや無印良品といった小売店が新たな消費価値を生み出している。百貨店を取り巻く環境は様変わりしている。
広島三越は売場面積が小さな店舗だが、今日まで上質で高感度な大人のための売り場づくりに知恵を絞ってきた。全国的な知名度はなくても、高感度で上質な商品にこだわっている仕入れ先を厳選し、1階のPOPUPゾーンでの展開や常設ショップでも導入。例えば、小規模だが確かなデザイン力と縫製技術で、上質な素材を使い一点一点生産しているアパレルメーカーや、観葉植物に合う花器や植木鉢を製造販売する有田焼の新進作家など、百貨店バイヤーの目利きで、成長が期待される商品を引っ張ってくる。一方でグループの大規模店舗では扱いたくても少量生産で絶対量が足りない、ならば広島で受けようというケースもある。広島三越には意外な発見があるといえる。
うれしいことに、パワーブランドやビッグブランドが店頭になくても広島では三越ののれんに信頼とステータスを感じていただいていると思う。ただ、依然厳しさは続いている。HDの傘下で〝個客業〟への変革に向けて取り組んだ結果、この2年間で3億円以上の赤字を圧縮できた。