ShellEarth(シェラース、南区大州、林智社長)は余剰が問題化している広島県の廃棄カキ殻を使い、アップサイクル事業に取り組む。カキ殻を1000度以上の高温で焼成して得られる、抗菌・防臭成分のあるマイクロレベルの粉状の酸化カルシウムを活用。これを1%程度混ぜた食品用の鮮度保持フィルム袋を試作中で、包材業者や食品メーカー向けの販路開拓、企画生産などの協業を見込む。台湾企業から技術供与を受け、カキ殻を粉末・ペレット状にして25%以上樹脂などと混ぜて成形するバイオマスプラスチックや、繊維などへの利用も計画する。
広島県は全国一のカキ養殖県で、毎年15万㌧程度のカキ殻が発生。農業・畜産業向け肥料・飼料などで消費されてきたが、需給バランスが崩れてカキ殻余剰が問題となり、県が週1回カキ打ち禁止の日を設けるなど対応が課題となっている。シェラースのカキ殻アップサイクル事業は、①焼成カキ殻入り防菌・防臭プラスチック、②粉砕カキ殻入りバイオマスプラスチックの2本柱。「防菌・防臭」はカキ殻を焼成した酸化カルシウムを練り込んだプラスチックペレットのほか、ペレットを使った食品向けフィルム、繊維などの最終製品・半製品の企画・生産も予定する。昨年11月に技術供与を受けた台湾企業の委託先工場(粉砕、混練・ペレット生産)を視察。同社はカキ殻を使った繊維でベッドカバーや靴下、バイオマスプラスチックで家電部品材料などを生産しており、カキ殻による抗菌テストでは黄色ブドウ球菌99%減少、抗菌・防臭成分の酸化カルシウムの多孔質性質によるアンモニアガス除去テストは99%減少の結果が出た。プラスチック製品は従来から充填剤として石灰石由来の炭酸カルシウムを使ってきたが、カキ殻由来の炭酸カルシウムでさらにCO2削減が可能になる。粉砕したカキ殻を25%以上混ぜるバイオマスプラスチックペレットのほか、荷物用コンテナ、ボールペンや歯ブラシの柄、ストローなど最終製品の企画も計画する。シェラースは2024年6月に資本金100万円で設立。林社長と夫で包装資材卸会社を経営する裕司氏が共同経営する。3年目に売上高2100万円を目指す。24年度のアクティブベースくれ地域活性化制度「幸運(グッドラック)」を受賞。
担当記者:大谷