その他 2025.12.15

第45回 広経大教授が語る デジタルマーケティングの現在と未来

デジタル時代のブランディング

 ブランドはマーケティングの重要なテーマです。単なる名前やロゴではなく信頼や期待の象徴であり、顧客に選ばれる仕組みだからです。強いブランドは価格競争を回避して自社の魅力や価値で顧客を引きつけます。この価値とは製品の機能だけでなく、情緒的・社会的価値や意義も含みます。そしてロイヤルティーを高めることで長期的な関係を築き、安定した収益につながります。さらにブランドイメージが向上すれば優秀な人材の採用にも良い影響を与えます。

マス時代のブランディング

 マス時代には、ブランディングは企業からの一方通行のコミュニケーションでした。テレビや新聞といったマスメディアで多くの人に知ってもらうことが目的だったのです。当時はビジュアルやコピーを統一し、有名なタレントを起用することで一貫したブランドイメージを作り上げることが重視されました。ブランドはイメージとして表現され、消費者はそれを受け取るだけでした。

デジタル時代の変化

 デジタル時代にもブランドの一貫性を保つことの重要性は変わりません。ただしブランディングは大きく変わってきています。

双方向のコミュニケーション

 今は企業からの一方的な発信ではなく、双方向の対話が求められます。顧客は企業に直接意見を伝えられるようになり、共感や批判がリアルタイムで拡散されます。
 こうした環境では企業も一つの人格を持った存在として対等な立場で会話することが大切になります。SNS、メール、問い合わせフォームを通じて親しみやすさや誠実さを示すことが信頼関係の基盤となります。まずは顧客が気軽に問い合わせできる仕組みを整えることから始めましょう。

一人一人に合わせた対応

 デジタル技術の進化によって顧客一人一人に最適化された発信が可能になりました。ウェブなどのデータを基に好みや行動を分析し、その人に合った情報や提案を届けることができます。
 またオンラインとオフラインの垣根を越えて広告接触から実店舗での購入、そしてアフターサポートまでを一貫することも重要です。そのためには顧客接点をすべて記録し、それに基づいた対応を心がける必要があります。

価値あるコンテンツの発信

 ブランディングの考え方も、広告を見せることから、独自の価値を伝えることへと変わりました。企業はサイトやSNSを通じて役立つ情報や専門知識、そして企業のストーリーを発信していく必要があります。

ユーザーの声の影響力

 ブランドの評価は企業が発信する情報よりもユーザーの声に大きく左右されます。レビューサイトへの投稿、SNSでのシェア、動画レビューなど、顧客の発信するコンテンツが信頼や評判を左右する時代です。
 企業としてはレビューを促すキャンペーンを展開し、良い口コミが広がるような施策を打つことが求められます。同時にネガティブな反応にも誠実に向き合い、丁寧に対応することで信頼を維持しなければなりません。そのためには、自社の評判を常にモニタリングすることが欠かせません。
 デジタル時代のブランディングはイメージ戦略ではなく、顧客との信頼関係を築くことが本質です。データ分析で顧客を理解し、対話を重ねながら親しみやすい関係性を作りましょう。その際にどんなコンテンツを発信するか、どんな言葉遣いをするかも重要なポイントです。信頼され、親しみを持たれれば、長期的な関係が生まれ、顧客生涯価値の最大化につながっていくはずです。

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PROFILE
宮田 庄悟(みやた しょうご)

宮田 庄悟(みやた しょうご) 1956年1月3日生まれ、和歌山県出身。早稲田大学を卒業し、79年4月に電通入社。東京、ニューヨーク、北京、ロンドンでマーケティング、イベント、スポーツ業務に従事。「ラグビーワールドカップ2019組織委員会」の広報・マーケティングなどを担当。20年4月から現職。

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