巻頭特集 2026年1月5日

観光振興 首都圏に食の魅力発信 官民連携で消費拡大狙う

2024年の日本人の県内観光客数は6052万人(県観光連盟の発表を基に本誌集計)となり、県外の発地エリア別で見ると関東地方が最多の745万人、近畿が602万人と続いた。また観光庁の調査によると、県内の旅行消費額は25年1~9月で3963億4700万円。しかし広島県と経済規模などで比較されることが多い宮城県では4284億4300万円と、約321億円の差が出ている。広島県では飲食などの観光消費額を一層伸ばしていこうと、大型プロジェクトを昨年に始動するなど奮起しているところだ。

首都圏に食資産を訴求

県観光課は昨年6月、食に関心が高い首都圏をメーンターゲットに食の魅力を発信するプロジェクト「OK!!広島(おいしいけぇ、ひろしま)」を発足。県出身のアーティストユニット「Ooochie Koochie(オーチーコーチー)」の奥田民生さん、吉川晃司さんを応援団長に任命し、各種広告や企業とのコラボ企画など幅広い施策を打ち出す。

同月に特設したウェブサイトは奥田さん、吉川さんが出演する動画を配信。また二人の年齢にちなみ、県内各地の60種の特産品やメニューを紹介している。同課の中岡龍也主任は「多くの人が広島を訪れる一方で、飲食消費額は高くない。カキ、お好み焼きといった定番以外にも目を向け、食への関心と来訪を促したい。100万円相当のグルメツアーが当たるSNSキャンペーンなどを通じて県公式アカウントのフォロワーが1万人以上増え、一定の成果を感じている」と話す。

観光客に加え、県民にも多様な食資産に目を向けてもらいたいと、二人や比婆牛、アナゴなどの写真を載せたラッピング電車を3月末まで運行する。同様のデザインのポスターを飲食店などに提供。美容院や歯科医院など食以外の業種からも引き合いがあり、地域全体での機運醸成に一役買っている。

県内外の企業と積極的に連携し、それぞれの持つ顧客ネットワークやブランド力を生かして訴求力を高める。マツダが東京・南青山で営むブランド体感施設「MAZDA TRANS AOYAMA」で瀬戸田レモンを使う焼き菓子などを提供するほか、東京や市内のホテルは県産食材を使った「広島フェア」を開いた。コラボメニューの提供を幅広く呼び掛け、地元の飲食店や回転ずしチェーンのかっぱ寿司などが参画。サンフレッチェ広島はスタジアム内で広島グルメを販売した。特産品販売のひろしま夢ぷらざやスーパーのフレスタは売り場を特設して県産品をPR。また、土産物や歳暮の配送に使ってもらおうと、ヤマト運輸と共同で段ボール箱を制作し、同社の県内営業所で扱う。県内外の飲食店や企業、商業施設とのコラボ企画は昨年末時点で100件を超えた。

万博でも食文化を発信

昨年の戦後80年を機に、大阪・関西万博の会場内に被爆と復興の歴史などを紹介するブース「RE:WORLD HIROSHIMA」を出展。VRを活用した原爆投下前後の街並みの疑似体験に加えて、お好み焼き味のふりかけ作り体験など、食文化を伝えるコーナーも設けた。

新たな観光事業を生み出す

広島県、県観光連盟、三井不動産(東京)、事業構想大学院大学(同)は2025年4月、県内の地域活性化に向けて観光開発を行う共同プロジェクト「世界トップ10・日本トップ3の観光県を目指す!事業構想プロジェクト研究」を発足した。公募で集まった交通やコンサル事業者などの研究員18人が「新たな観光ルート開発」「観光コンテンツ造成」「関係人口増加促進」の三つのテーマ下で、約9カ月間にわたりプランを練っていく。

4者の役割は以下の通り。▽広島県、県観光連盟=企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を活用し、県内の観光分野の人材育成と地域活性化を推進。▽三井不動産=同ふるさと納税を活用して県に寄付を行い、観光振興などに貢献する。▽事業構想大学院大学=事業アイデアの発想~構想の策定、実現に向けた計画~構築を支援するカリキュラムを提供。

25年12月12日時点でミーティング全20回中14回を終えた。計画は各参加者が主体となり26年度以降に任意実行するという。同プロジェクトには広島国際空港も協力している。

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