仕事人生を振り返ると失敗ばかり。中でも印象深いのは40歳ぐらいの時に管理本部長として主導した基幹システムの大改修だ。社員40人がかりで1年半取り組んだが、エラーの連続で稼働に失敗。3日間出荷が止まってしまった。改修元のプログラムを作った経験から「自分にはできる」とうぬぼれていたが、人の力や仕事量の測り方といったプロジェクト管理が甘すぎたのだろう。落ち込む暇もなく復旧に奔走し、100本くらいのプログラムを追加でつくり、半年ほどかけてなんとか軌道に乗せることができた。主管する海外事業も挫折の連続。1990年代、日本に来る外国人観光客が喜んでお好み焼きを食べている様子を見て「簡単に売れるだろう」と高をくくっていたが、実際にアメリカで試食を配ると、知らない食べ物への抵抗感からなのか全く食べてもらえない。やむを得ず、すし用のソースを主力商品に事業を開始。ブランド名の変更などいろいろなことを試したが、結局は試食会など時間をかけた地道な活動が実った。今ではインバウンド増加もあってお好み焼きを知っている外国人が増え、オタフクブランドを確立できてきたと感じる。今後はヨーロッパでの消費拡大が目標。5代目社長だった父がよく言っていた「なせば成る」の精神で、何事も最後までやり通したい。
担当記者:大島