お好み焼き、生産量全国一のカキ、レモンなど知名度が高い特産が注目されがちだが、おっとどっこい。山海の幸に恵まれた多彩な食の奥深さ、魅力を見逃してはいけない。広島県主導の「おいしい!広島」プロジェクトの一環で12月4日、SNS推し活合戦(10月末〜11月中旬実施)で出場権を獲得した9市町10チームがフードリンピック秋の広島紅白〝食〟合戦に挑んだ。湯崎英彦県知事、フレンチの達人でラ・ロシェル南青山の坂井オーナーシェフ、日本料理・喜多岡の北岡店主が味はむろん、独創性や素材を生かしているかなど5項目で審査した結果、紅組が優勝。湯崎知事は、「G7を契機に広島の食の魅力を再認識し発信する意義がさらに高まった。さらに食文化を磨き、オール広島で盛り上げていきたい」各チームとも工夫と素材への自信にあふれていた。日本料理魚池(大竹市)の池田社長は阿多田島のハマチ養殖でレモン果汁を餌に冬だけ出荷するブランドハマチに三国造酢の酢、地元米、菊芋というオール大竹のすしを考案。プロジェクトは生産者、流通、飲食店や加工会社がタッグを組みながら広島の食を発掘、発信、地域の活性化の好循環を目論む。何より農水産業の生産性の高い持続可能な未来を願う。フードリンピックは来年も予定。

アフリカの人口は15億人を超え、2100年には世界の3分の1以上がアフリカ人になるという予測もある。一方で、他地域は人口減に直面し、大きな社会問題として顕在化。世界的な人口の不均衡をどう調和させていくのか、新たな市場開拓の可能性も秘めており、日本にとっても大切な命題を突きつけている。将来へどう備えるのか、いち早く教育現場でも新たな動きが出てきた。広島大学は11月25日に「アフリカデー」と銘打ち、アフリカ連合が運営するパンアフリカン大学(PAU)の学長らを招いて国際交流協定を結んだ。平和で持続可能な社会をつくり、相互協力しながら研究能力を高めるなどの活動を宣言した。越智光夫学長は、「日本の大学で初めてPAUと協定でき光栄に思う。広大で受け入れる留学生は、これから訪れるアフリカの時代のリーダーになるだろう。彼らとのネットワーク構築は大きな意味を持つ」広島で学んだ若者が、アフリカとの懸け橋になると期待を寄せた。どんな技術やイノベーション、産業が生まれるだろうか。

県と企業が一体になってがん予防や検診の普及啓発に取り組む「チームがん対策ひろしま」の登録企業188社のうち、優秀な成果(2023年8月〜24年7月)を挙げたトーヨーエイテック(南区宇品東)とハンズ(中区大手町)に県知事賞、中国新聞社(中区)に特別賞が授与された。保険代理業のハンズは、社内での受診促進の取り組みが評価された。勤務時間内での受診や休暇付与といった制度を設け、受診費の全額を会社負担。受診率はほぼ100%という。副社長の西浦祐子さんは3年前にがんを発症し、抗がん剤治療や2度の手術を経て本格的な職場復帰を果たす。がん患者とその家族が集う交流イベント(年3回)の支援にも出向くなど積極的な普及活動を続ける。「禁煙外来の費用も会社で負担している。1月の会議で社内の喫煙者にイライラ緩和が期待される禁煙ガムを配布。がんの受診率は伸びているが、禁煙に成功したのは5人中1人で、なかなかハードルが高い。あの時に禁煙していたらと悔やんでも遅い。健康は命、人生にかかわる最な宝です」

いまや空撮の定石となったドローン(無人航空機)の活用が広がっている。災害時の状況調査のほか、能登半島地震では救援物資をくくりつけ、崩れた道路を一足飛びにして届けるニュースが奮闘ぶりを伝えていた。ドローン空撮や教習事業を手掛けるヒトライト(西区小河内町)の浦中彩子社長は、「近い将来、空の物流が盛んになると思う。主流の回転翼式は垂直離着陸などの面で便利だが、効率的に運ぶためには長距離を速く移動できる固定翼との混合型が鍵を握る。さらに技術を錬磨します」11月に1週間、パイロット兼インストラクターの藤原恒さんが固定翼機の操縦を学んだ。風の影響が強く、難儀したが何とか着陸まで成功。同機の国家資格取得を目指す。ロシアとウクライナが爆撃に使うドローンの脅威がしばしば報道されている。道具は使い方次第。世界へ平和を届けるドローンの活躍を期待。

たとえ時給が100円安かろうとも、ネイルができる「バ先」(アルバイト先)が人気らしい。ウェブマーケティングコンサルなどのレイメイ(中区光南町)が9月に始めたSNSバイト求人事業が好調という。インスタグラムで15万人以上にフォローされる「広島グルメらんちさん」と協力。飲食店などの労働条件や職場環境を紹介する動画を撮影・制作し、インスタグラムとティックトックの専用アカウント「広島バイトさん」に掲載する。掲載までは無料で、採用1件につき2万円を店から受け取る。また採用後2回以上出勤したアルバイトには5000円を支給する仕組み。現在20件以上の掲載依頼があり、既に飲食店や学習塾など15件を紹介。12月4日時点の再生回数はインスタグラム11・9万回、ティックトック15・2万回に達した。田中恭平社長は、「今の若者は時給よりも、好みのヘアスタイル、メイク、ネイルなどができる労働条件を重視する傾向がある。従来の求人サイトより動画の方が従業員の人柄や実態が伝わりやすいため、需要の拡大を見込む。同サービスへの掲載をきっかけにSNS運営など他事業の受注につなげたい」

広告代理のニューズアンドコミュニケーションズ(中区富士見町)が民泊業に進出した。中区袋町の築約50年の賃貸ビルの3階と4階部分に「広島ホテル」計3室をオープン。築古でエレベーターがないことから階段を上り下りする際に少しでも楽しんでもらおうと地元クリエイターに依頼し、通路に広島の主な観光地を明るいイラストでデザインした。原爆ドームや平和記念資料館、縮景園、広島城などに加え、壁の割れ目を生かして描いたエディオンピースウイング広島や広島名産のもみじまんじゅう、カキなども添える。田村秀樹社長は、「全面を塗り替えず、あえて建物の古さを生かし、おもてなしの心で創意工夫。ここを拠点に観光地への思いを巡らせ、小旅行を楽しんでもらいたい」

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