熊野町で唯一の酒蔵で、主力銘柄「大号令」を製造。明治時代から続く酒造りを一旦休止した2020年に門をたたき、杜氏に就任。4年目となる造りを10月末から始めた。「もろみを搾る槽(ふね)は昔ながらの木製で、使うのは県内で唯一。古さゆえの苦労は多いが、それが個性にもなりえる。ここでしかできない酒造りを追い求めたい」もとより伝統的な手造りを基本としてきたが、古くなった放冷機を処分して自然放冷に切り替えるなど、一層の手間暇をかける。昨春には、日本最古といわれる酒母「菩提酛(ぼだいもと)」を再現して仕込んだ純米無濾過(ろか)生原酒を発売するなど、挑戦を続ける。「菩提酛はここでできる表現の一つだった。新たな試みに反響は大きく、すぐに完売。この蔵に入り多くの人に支えられていることを改めて実感。期待にしっかりと応えたい」1985年生まれ、南区出身。広島経済大学時代に訪れた竹鶴酒造の神聖な雰囲気に引かれて蔵人を志した。竹鶴、北島酒造(滋賀県)で基礎を学び、2021年11月に蔵入り。蔵元の馬上日出男さんは「いっそう村上カラーを出してほしい」とエールを送る。12月初旬から新酒の出荷が始まる。

担当記者:梶原

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