2023年と24年。DeNAは2シーズン連続でセ・リーグ3位。23年はクライマックスシリーズのファーストステージでリーグ2位のカープに敗れたものの、24年は2位の阪神、1位の巨人を連破し日本シリーズへ。ソフトバンクが圧倒的有利という予想の中で、ついに完璧な〝下克上〟を達成した。その原動力はいった何だったのだろうか。横浜での2連戦。DeNAは予想通り強かったソフトバンクに2連敗を喫す。早々に〝やっぱり〟という気が流れ始めた。しかし連敗の試合後、キャプテン牧秀悟が、選手を集めて三浦大輔監督抜きのミーティングを実施した。「もう一度気合を入れて思い切りやろう!」。福岡へ移動してからのDeNAが別のチームのように生まれ変わり、その後4連勝。伏兵だった桑原将志のバットは〝打ち出の小槌〟状態。CSから好調を維持していた戸柱恭孝の快打。そして高卒5年目(22歳)の森敬斗の巧みな適時打。皆が自分の打撃に徹する。特に順番を変えながらクリーンアップを組んだ佐野恵太、オースティン、宮崎敏郎は必ず誰かが打った。時には全員が打って大量点を奪う。彼らはメディアから〝令和のマシンガン打線〟と呼ばれた。来シーズン、カープはこのDeNA打線に太刀打ちできるのだろうか。多くのカープファンがそう思っただろう。そこにはいくつもの学ぶべき点があった。選手たちの自主的なミーティング。打線の中の役割意識。個々のスキル向上。強いメンタル。まだ時間はたっぷりある。来季こそ、圧倒的で破壊力のあるカープ打線を見たい。
プロフィル
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」