成長の源泉

広島市信用組合は11月18日、薬研堀支店を中区西平塚町に新築移転オープンした。駅前通り沿いに3階建て延べ713平方㍍で、本店、旧広島第一信組本店だった竹原支店に次ぐ規模。1階は駐車場、ATM、両替機、夜間金庫、倉庫、2階に営業室、3階に会議室などを設けた。土地代を含めた総投資額は11億5630万円。開店日は午前8時〜午後5時の営業で約913人が来店。4月に3人、6月に2人増員し11人体制。事業性融資を開拓する支店長のローラーは7回で総訪問数6654のうち面談5377。預金などの得意先係ローラーは回で総訪問数3万4254のうち面談8271。法人・個人の事業性貸出金の新規開拓は209軒に上った。山本明弘理事長は、「開設62年の歴史ある店舗で、高度成長期には夜の7時まで営業していた。コロナ禍から回復しつつある飲食業のほか、建設・設計など事業所や個人客も多い。支店の新築移転は成長の源泉で、業績向上に生かしたい」
起業成功の鍵
スタートアップとのマッチングイベント「TSUNAGU広島」が初開催されるなど、ベンチャー機運が高まる中、成功の確率を上げる〝共同創業者〟が鍵を握るという。県は「ひろしまユニコーン10」事業の一環で10月10日、ウェブサービスのペライチ(東京)創業者の橋田一秀さんを招き、起業志望者などに向けたイベントを市内で開いた。橋田さんは、インターネット領域のようなハイテク業界では特に複数人での起業のメリットが多いと指摘した。テクノロジーの急速な発展などで多くの情報処理が求められており、複数人の方がより多くの情報を吸収し、素早く推論や分析の誤りを修正できる。マイクロソフトのビル・ゲイツは共同創業者のポール・アレンがいる。「私の場合は3人で起業。資金調達量やスケールスピードも共同創業の方が早いというデータがある。大半の起業家はビジネスモデルなどばかりに目を向けがちですが、共同創業のやり方、人の選び方にも、より意識を向けてもらいたい」
シビックプライド
県外の大学に進学しても将来、地元に帰ってきてほしい。県内81社・団体でつくる広島都心会議(椋田昌夫会長=広島電鉄会長)は11月24日、11校約60人の高校生を招き「わたしのひろしまゼミ」を開いた。昨年度に試行し、本格開催。学生たちは地元の魅力や実現したいことをテーマに話し合い、自分とは違う考え方に触れた。同会議ひろしまブランド部会長を務める大森富士子さん(ガリバープロダクツ専務)は、「対話を通じて一人一人の理解や愛着が深まり、シビックプライドが形づくられる。地域を支える〝人財〟を育み、転出超過の抑制につなげたい」
重労働をアシスト

腰などに強い負荷がかかる作業に携わる人を守り、人手不足解消にも役立つという。作業服メーカーのAsahicho(府中市)は、早稲田大学の田中英一郎教授と共同開発したゴム製のアシストスーツ(作業補助装具)が、中国地方発明表彰で2024年度日本弁理士会長賞に選ばれた。業務上疾病の6割超を腰痛で占める。力仕事が必要な工場や物流倉庫のほか、介護や医療現場でも威力を発揮しそうだ。田中教授は授業で学生が自転車のタイヤチューブで作った装具から着想した。開発に4年をかけ、19年に発売した。軽くて薄い特殊ゴムを採用し腰だけでなく全身を包み込む。腰や膝を曲げると連動して腕が持ち上がる伸縮力を利用するため、電源が不要。補助力の強弱を調整でき、作業しない時に脱がなくても良い。家庭で洗える点も支持されているという。児玉賢士社長は、「現場の労災を減らしたい一心で顧客の声に耳を傾けながら、改良を重ねてきた。人手不足の解消に少しでも貢献できれば大変うれしい」
宙に舞う
ゼロから強豪チームにまで育て上げた監督が宙を舞った。中国地方唯一のプロ自転車チーム、ヴィクトワール広島(安佐南区)は11月14日、今季エンドパーティーを中区の飲食店で開いた。スポンサーやファンなど80人以上が参加。今季から新リーグ(22チーム)に参戦し、5位に終わったが、一時は首位に立ったこともあり健闘。ホーム戦2連覇などの活躍をねぎらった。今季で退任し、来季からGMとして運営に専念する中山卓士監督は、「2015年の発足時は〝経営が1年ももたない〟という声も浴びせられました。今では100社近いスポンサー、遠方から駆けつけてくれる大勢のファンはじめ、身を粉にして働くスタッフに支えられながら優勝を争えるまでに成長。この10年幸せでした。心から感謝申し上げます」スポンサー代表の桐原真一郎さん(桐原容器工業所社長)、柴田雅之キャプテンから感謝の言葉を受けた後、選手らに胴上げされ、3度高く舞った。次の監督は近く発表予定。
レジェンド登場
音楽は人をわくわくさせる。1960年の開学と同時に結成された広島商科大学(現・広島修道大学)のラテン音楽部「HCCキューバンナイツ」65周年記念コンサートが11月16日、西区民センターであった。現役学生バンドやヤング、シニア、レジェンドの世代ごとに編成した四つのビッグバンドが競演。若い人や白髪の人、家族連れで満席になり、盛んな拍手やかけ声も飛び交って大いに湧いた。結成10周年コンサート以降、5年ごとに回を重ね、卒業生も稽古を積んで出演し続けた。とりわけレジェンドバンドは70代中心に83歳まで赤いボレロのステージ衣装で慕情、ベサメ・ムーチョなどを演奏。今回で最後になるのではと惜しんだためか、アンコールの拍手が鳴り止まなかった。初代同窓会長を務めた1回生の池田達也さんが演奏の合間、舞台に立ち、「当時、有名大学による広島コンサートがうらやましく、悔しい思いもした。音楽は門外漢だが、ラテン音楽部を結成しようと思い立った。ルンバ、サンバの哀愁を帯びた音色に魅せられた。未来へとつなげたい」何と、66年に大学対抗大会フルバンド部門で全国1位に輝いた。池田さんは外国人材の監理・支援を行う(協)西海協会長として活躍。やりたいことがあれば声を上げ、失敗を恐れず挑戦することが肝要という。上場企業の4℃社長を務めた8回生の細田信行さんはアルトサックスのソロ演奏も披露した。「みんなの心にパイオニア精神がある。挑戦するから夢がかなう。できる限り演奏活動を続けたい」現在は修道学園理事に就いており、大学の発展にも心を砕く。