不動産開発やソーシャルビジネスを手掛けるマリモホールディングス(西区庚午北、深川真社長)はフィリピンで、中低所得者でも無理なく購入できる住宅「アフォーダブルハウジング事業」に本格参入する。発展途上国では所得が低い世帯の住宅事情が悪く、健康で安全な暮らしや子どもの教育などをさまたげている。自然災害の多いフィリピンは特に顕著で、社会問題の解決につなげたいとする。
グループ会社のマリモ フィリピン ホールディングス インク(タギグ市)が8月22日付で、同国不動産デベロッパーのバーリン コンストラクト インク(ケソン市、バージリオ タペ社長、資本金約5億円)の第三者割当増資を引き受けた。金額は非公表。バーリン社は2007年の設立から約1万戸の実績がある。レイテ州で単独プロジェクト第1期204戸の引き渡しを始めており、来年以降に第2期300戸に着手する計画だ。他にも複数の自治体と共同事業を進めている。正社員45人、非正規社員100人。マリモグループから役員2人が出向。プロジェクトマネジメントやファイナンス、販売など日本の幅広い知見を生かし、フィリピンの住宅不足解消に寄与する考え。住宅や区画の面積抑制、市中心部を避けた立地選定、平屋建ての長屋タイプが主流といった工夫で価格を抑えるほか、政府系金融機関と連携して購入者が住宅ローンを組みやすくしている。ノウハウを磨き将来は他の途上国への展開を視野に入れる。
インドネシアのIT人材発掘
グループのIT会社マリモ・グローバル・テクノロジー(東京)は10月15日、インドネシアのPTディーローズ コンサルタシ インドネシア(デポック市、資本金約1億円、田中真介社長)の全株式を取得した。システム開発に強みがあるマリモ・グローバル・テクノロジーは、社員56人のうち外国籍が40%を占める。特にインドネシアの人材に関しては、グループの国際人材紹介事業などで構築した現地大学とのネットワークを活用し、積極的な採用活動を行っている。成長傾向にある日本のIT市場で人手不足が続くほか、ASEAN地域の著しい経済成長に伴いグローバル展開が必要と判断し、海外のパートナー企業を探していた。ディーローズ社はインドネシアで日本人2人が17年に設立。大手日系企業の現地法人を対象にITコンサルティングやシステム導入支援事業を手掛ける。社員50人で、田中社長は続投。両社の得意分野の相互補完を目指す。マリモホールディングスの国際人材紹介事業は、インドネシア現地の日本語教育や日本勤務時のきめ細やかな生活支援などが特長。国際人材の定着や増加、働き方の多様性推進に貢献していく。
担当記者:吉田