福屋駅前店の挑戦
広島駅周辺の再開発を見据え、エールエールA館の広島駅前店を段階的に改装する福屋は10月24日、地下1階食品フロアに「デイリープラザ」をリニューアルオープンした。中四国初出店の高品質食料品店「タベルト」を〝ハブ〟に生鮮品の専門店とアンデルセンも改装し、買い回りしやすい売り場に再編。吉岡英昭店長は、「地元から支持され、愛される売り場を目指す。安全、安心、健康を最優先。日配品などの地元商品、試食したバイヤーの舌をうならせた食品をそろえる」来年3月には新駅ビル商業施設・ミナモアが開業し、一層差別化が求められる。2026年春には駅とペデストリアンデッキでつながり、併せてA館へ市立中央図書館が移転する予定。駅前店の鈩前(たたらまえ)浩二店長は、「買い物以外の来館者が増え、新たな消費が生まれる。現状の倍の約3〜4万人の動員を期待し、会社帰りや最寄りに住む方々に新生デパ地下で買い物を楽しんでいただく。デパートならではのこだわり食品にも力を注いでいる。地元と共に歩んできた福屋を憩いの場としても利用してもらいたい」
マンガで広大PR
3年連続の転出超過全国ワースト1位を何とかせんにゃいけん。湯崎英彦知事を先頭に総動員の構えだが大学も学生集めにひと工夫を凝らす。広島大学は10月25日、越智光夫学長が女子高校生に学内を案内するという設定のマンガ「ヒロ子さんと巡る広島大学」を発刊した。作画は、人気シリーズ「島耕作」の弘兼憲史氏。新入生向けの講演を何度も行うなど、広大とは以前から何かと縁があったという。越智学長は、「マンガ形式で大学をPRするのは初めて。主に中高生向けに歴史や特徴、最新研究などを分かりやすく紹介しており、私ですら知らなかった要素も描かれている。一般販売に加え、広大に進学実績のある学校などへ進呈して魅力を伝えたい」A5判、120㌻で税込み1000円。英・中・インドネシア語などの翻訳版も予定する。同日は、池上彰氏や茂木健一郎氏ら8人の著名人と越智学長の対談をまとめた「22世紀の教養論」も同時発刊。206㌻で1980円。
印刷業界のために
総合印刷のユニバーサルポスト(西区商工センター)グループでデザインなどを担うフロンティア(同)は今春、愛媛県にあったチラシ制作用スタジオを南区大州へ移転。同業他社などから見学が相次いでいるという。主要取引先のスーパー、フジが新体制で広島に本社を移したのを受け、大州の印刷工場内にあった倉庫をスタジオに改修した。従来の約1・5倍のスペースで生鮮食品や総菜、衣料品など50〜100点を1日に撮影。異なるデータでも一度に刷れるバリアブル印刷機を生かし、ほぼ毎週ペースでフジのチラシやDMを企画・制作する。フロンティアの押川隆広副社長は、「スタジオと工場の一体化により画像の調整や管理、印刷までを一貫対応できるようになった。こうした設備は珍しく、多い月には同業など3社程度が訪れている。ノウハウを無償で提供するようなものだが、業界の活性化のためなら喜んで応じたい」印刷業はデジタル化で逆風が吹くが、同グループは人間の感性に基づくチラシ販促が好評。フジ傘下に入った他のスーパーにも訴求したいと意気込む。
ドラフラの新基軸
昨季Bリーグ年間王者の広島ドラゴンフライズは、2026年にスタートする新リーグのトップカテゴリー「Bプレミア」への参入が確定した。併せて新アリーナをJR西日本の旧広島支社跡に建設する構想をまとめ、要望書を提出。運営会社の浦伸嘉社長は、「この1年でアリーナの建設地を確定し、30年の開業を実現したい。エンタメ性を堪能できる最新技術も盛り込み、広島らしさを発揮し、スポーツの感動が生まれる新たな拠点を目指す」ソフト面でも新しい試みを始めた。高校生に人工知能(AI)を活用する力を習得してもらう「ひろしまAI部」の一環で10月8〜14日、課題解決のアイデアを募るイベントを開いた。参加者はスポーツ経営とAIに関する講義を受けた後に試合と会場視察を経て、ワークショップを実施。スマートフォン上のマップで座席に誘導して混雑を解消するシステムや、若者がストレスを感じる高い周波数の音を防ぐグッズなど、多彩なアイデアが飛び出した。「流行の中心を担う若い層へのアプローチは必要不可欠。引き続き学生の知恵も借りながら興行としての魅力を高めていく」
残コン事業が好調
資源の無駄遣いは許されない。施工中に型枠の変形や品質の変動などにより、工事・建設現場で発生する、いわゆる「残コン」は生コン業者にとって頭が痛い。(社)生コン・残コンソリューション技術研究会によると、使えなくなった残コンなどは全使用量の3〜5%に及ぶ。国内で年間に東京ドーム2〜4個分。処理費がかさみ、手間もかかる難問を解決する残コン事業が好調という。ユニック車に特化したダイビン運送(廿日市市永原)は生コン業者の負担を減らすため型枠に流し込んだ「残コンブロック」を約20年前から製造販売している。最近は隔壁、基礎ブロックなどの実用例や在庫個数を表示した同社HPからも発注可能。全国の運送業者と連携して配送する仕組みをつくった。山本洋司社長は、「入社した当時、残コンブロックの売れ行きはさっぱり。山のようにブロックが積み重なっていたため近所の人に配っていた。こうした状況を打破しようと10年前にネットオークションで販売開始。次第に北海道から沖縄まで全国各地から問い合わせが入り、予想外の展開に驚いている。ブロック一つの重量は1・2㌧。配送依頼も多く、運送業者とネットワークを組む。生コン業者などとの連携を増やし、全国に残コン事業を広げたい」厄介な残り物もアイデア次第でビジネスチャンスに。
宮島産の清め塩

酒類小売業フレイム(廿日市市宮内)は今夏、宮島の東沖でくみ上げた海水を島内で製塩する100%宮島産「みやじまの塩」を発売。宮島町の真言宗大聖院で毎年4、11月に行われる火渡り神事の清め塩に採用されることになった。宮島の新たな特産品を目指し、構想から4年をかけた。島内の空き家を製塩工場に改修。開発した自社ブランドみやじまの塩は75㌘入り、1900円。宮島口の物販施設はつこいマーケットなどに卸すほか島内飲食店へ販路を広げている。清め塩は、広島青年会議所の理事長、宮島観光協会の副会長などを務めた大聖院の吉田正裕座主の賛同を得た。11月の初奉納に合わせ、同院の摩尼殿をあしらった限定パッケージ商品「仏塩」(20㌘入り、500円)も発売する。川本修社長は、「島の伝統神事に使われる栄誉を頂いた。多くの人から末永く愛されるよう精進します」
現代アートでたどる
ひろしま美術館は特別展「ジパング-平成を駆け抜けた現代アーティストたち」を12月22日まで開く。失われた30年ともいわれる平成の時代は否定的に捉えられる一方で、ファッションや建築、アニメ、現代アートなどの分野で世界的な評価を得た。通常は印象派の作品が並ぶ本館に村上隆、奈良美智、会田誠など29組46作品を展示。学芸員の水木祥子さんは、「当館はシニア層が主な来館者だが、いつもと異なる空間で若い人にも気軽にアートを楽しんでいただきたい」来館者3万人目標。