宮島の伝統の技を使った工芸品の継承と現代にマッチした商品の発掘を掲げる宮島特産品振興大会が第50回を迎えた。10月にあった審査会で選ばれた大賞など受賞作をはじめ応募作全40点を11月3〜10日、etto宮島交流館である記念企画展「宮島細工の匠展」で披露する。受賞作品展をはじめ今に伝わる先人の作品や道具、名工と現在の作り手の作品を併せて展示。宮島ロクロの後継者育成事業の研修生や広島市立大の実習、宮島学園小学5年生の宮島彫り体験授業の成果も発表する。第47、49回大賞に輝いた廿日市市地域支援員の下村祐介さんは、「古い作品は宮島の島内外から募集し、聞き取りや作者の調査も行った。伝統の作品に触れると同時に、今の生活環境で愛用される商品として魅力的な作品を掘り起こす。私は市立大デザイン工芸学科で漆造形を学ぶ中、宮島細工の伝統工芸士、藤本悟先生に直接手ほどきを受け、伝統を継ぐ姿勢と技に魅了された。三重県出身だが島内に居住して作品づくりとともに宮島の伝統工芸を盛り上げていきたい」3日は1800年代にその技術を根付かせた杓子の誓真、ロクロの小田権六、彫りの波木井昇斎の52回目の合同供養祭も執り行う。小林一松堂の三代松斎で、大会を主催する宮島産業振興会の小林利幸会長は、「従来にない発想が新たな宮島の伝統工芸をつくっていく。認知度を高め、作り手と販売の両輪駆動がうまく回るよう願っている」

電気自動車(EV)のエネルギーは何から作られているのか。ひろしま自動車産学官連携推進会議の内田健司さんは10月17日、近畿大学工学部の学生向けに「クルマのカーボンニュートラル」と題し、講演した。日本の電力は現在CO2を多く出す発電由来が約7割。電池生産にもCO2を排出する。「エネルギー源の課題から探る〝油田から車輪まで〟の考えが重要。マツダは藻類と食用廃油から作るバイオエタノールや、アンモニア専焼発電に取り組む。自動車産業にも社会的に意義のある仕事に携われることを若い人に知ってもらいたい」当日、マツダの次世代バイオディーゼル燃料実証車のエンジンを動かし、免許のない学生も驚かせた。続いて29日に広島工業大学でも特別講義を開く。

県商工労働局の県内投資促進課は10月11日、全国の事業者に広島の魅力や豊かな可能性を伝えるべく、広島電鉄のイベント専用車両「トランルージュ」を貸し切るビジネス交流会を開いた。同月10〜12日に県内各地で開いた交流イベントの一環で企画した。東京や県内の経営者ら13人が参加。広島駅〜西広島駅を往復する約2時間、県職員の解説に耳を傾け、「がんす」などの名産品を食べながら情報交換した。同課の奥野弘展次長は、「県外のビジネスパーソンに、今後長く語ってもらえる広島らしい体験をしてほしいと考え、広電を活用する非日常的なイベントを開いた。参加者同士は初対面ながら活発な交流があった。挑戦の場を求める県外企業が広島でイノベーションを起こしてくれれば」

建築家の丹下健三氏が終戦5年後に描いた中区基町の青写真には大きなサッカー場があった。広島経済大学は10月18日、サンフレッチェ広島社長の仙田信吾さんを招いて講演会「国際スポーツサロン」を開いた。戦後復興を描く「広島サッカー物語」を紹介。新しく誕生した女子チームのレジーナ広島、エディオンピースウイング広島に託す思いも語った。1947年に広島高師附属中学校が全国優勝して以降、下村幸男選手など被爆者が多く所属した広島のチームは社会人も学生も非常に強かった。サッカーに生きる希望を見いだした選手を学校や地域が総出で応援し、〝広島は終わっていない〟と全国に訴えたという。「丹下氏が50年に作った復興の設計図には、原爆死没者慰霊碑と原爆ドームを結んだ延長線上で当時、原爆スラムがあった場所に陸上競技場、今のそごう広島店の位置にサッカー場がある。祈りと記憶の先に明るい未来を描いたのだと想像する。新スタジアムはその象徴としたい」スタジアム内にキャプテン翼とコラボした平和メッセージ壁画や、8カ国語訳の広島サッカー物語を鑑賞できるブースを設ける。「2024年シーズンのサンフレのホーム戦は全てチケット完売。満員が続けばより多くの人の目に留まる。女子チームと共に長く親しんでもらえる運営に力を入れます」

システム開発のドリームネッツ(福山市)は、全国展開のリユース販売企業からインターネットオークションサイトの構築業務を受注し、9月に本格的に運用を始めた。昨年リリースしたオークションサイト構築パッケージを活用し、短納期、低コストを実現。同パッケージは入・落札、入金、配送の管理など一般的な内容を網羅し、顧客の要望に合わせて基幹システムとの連携、一括・自動入札、在庫の自動出品などさまざまな機能を加えられる。井上一成社長は、「ネット通販システムは世の中にごまんとあるが、指値といった独特の商習慣を含むオークションは開発の難しさなどから意外と競合が少ない。コロナ禍以降、ネットオークション市場は拡大傾向にあり、今後も堅調な需要を見込んでいる」2000年の創業当初からフリマサイト、電子書籍の出版・販売サービスなどを時代に先駆けて事業化。従業員10数人規模ながらキングジム、リコーなど大企業の目に留まり、資本業務提携や共同開発の実績がある。開発力はもとより、世の中にありそうでないものを見つける観察眼こそが成功の秘訣なのだろう。

日本山岳会が創立120周年を迎えた。英国人ウォルター・ウェストン師の勧めで、日本初の山の会として誕生。以来、登山文化を伝え、マナスル初登頂などをはじめ、多くの偉業を成し遂げた。同会広島支部(南区大須賀町)は11月23日午後2時半から、山岳気象予報士の猪熊隆之さんを講師に招いて記念講演会「山の天気ライブ授業」を南区大須賀のTKPガーデンシティPREMIUM広島駅前ホールで開く。定員150人。翌日は午前9時〜午後3時の予定で海田町にある日浦山345㍍で実地授業を行う。定員30人。副支部長の近藤道明さん(76)は、「登山のための雲の見方などを学び、空を見ることの楽しさを体感してもらいたい。山で生涯の仲間と出会う。そして山の豊かさ、素晴らしさを堪能。ささいな悩みなど吹っ飛びます。おおらかな気分で前向きに生活と向き合うことができます」同支部は1997年11月に発足。現会員約130人。

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