地域経済 2025.12.08

広大発ベンチャー 非接触で設備診断するシンラ社始動 高速カメラとAIでプラントなど予知保全

 広島大学大学院の先進理工系科学研究科で准教授を務める島崎航平さんは9月、産業機械やプラントなどの振動を非接触で計測する技術の展開を目指し、SYNRA(シンラ)(株)を東京都大田区で設立した。高速カメラとAIを用い、接触型センサーを使う通常の手法よりも大幅に作業時間を短縮できるだけでなく、高所など計測が難しい場所にも対応。製造業の工場やインフラ関連といった設備の異常を予知保全できる点を強みに、広大発ベンチャーとしてグローバル展開を目指す。

 従来、構造物の振動を測る際は複数のセンサー設置や配線の整理など多大な労力と時間がかかることが多い。一方で同社は、1台の高速カメラにAIを組み合わせて微細な振動をリアルタイムに可視化、解析する。例えば通常、人員調整や機材の設置、データ収集、分析といった流れで2時間かかる工程が、同社では5分程度のカメラ設置と、数〜数十秒の撮影・解析で完了するという。また非接触のため、立ち入り困難な箇所や広範囲の診断も得意とする。
 島崎社長を中心とした研究チームは、工場やプラントなどでの数百件以上の計測実績を基に今回の技術を開発。取得した特許は11件に上る。法人化前は「ボランチアイズ」の名称で、2024年度には県による急成長企業の創出プロジェクト「ひろしまユニコーン10」に採択された。加えて、広島大学が主幹となり中四国の研究者を支援する「ピース&サイエンス イノベーション エコシステム」内のプログラム「GAPファンド」にも選出。同ファンドを通じたスタートアップの設立は初めて。
 島崎社長は「予知保全のグローバル市場は現在で3兆円、30年には9兆円規模になると予測している。既に自動車部品メーカーなどとの協力を進めており、今後はあらゆる製造業、そして社会インフラにも応用したい。世界進出を見据えて本社は東京に置いたが、広島発のベンチャーとして〝時間を奪わない計測〟の技術を確立する」と話した。

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