ITで1次産業を支援するアンドピリオド(大崎上島町中野、藤中拓弥社長)は、来場者がその場で同町にふるさと納税できる、現地決済型システムを活用したマルシェを開く。第1弾としてJR広島駅北口2階のペデストリアンデッキで10月19、20日に予定するほか、12月までに山口県周南市を含む計3回を計画。手軽に納税と返礼品のやりとりができる点を強みに、全国の自治体へ横展開を目指す。
第1弾は、ふるさと納税事業で大崎上島町と提携するカヤック(神奈川、東証グロース)と、おけいこドットコム(西区、湊容子代表)の3社で共同開催。カヤックと同町が返礼品として共同開発したレモン果汁「大崎上島ナポレモン」をPRし、希望者にはスマホで納税ができるシステム「ふるさとズ」を介してその場で決済してもらう。納税者は品物を直接確認でき、事業者は発送の手間やコストが省けるため双方にメリットがある。ナポレモンは同町産レモンを100%使う、とろみのある商品で、酒や炭酸水に混ぜて飲む。寄付金額1万1000円〜。おけいこ社は、かんきつ類など同町の特産品を生かした商品の販売を主に担う。かんきつ類は間引きの工程で廃棄品が発生するが、同社は食材として使うパウンドケーキなどを考案。本来なら捨てられる物を収益につなげて生産者に還元する。ふるさと納税には関わらない。物販の店頭では、作物の生産や加工といった流れを紹介する映像も通じて同町産品の魅力を伝える。10月末は運動イベント「ハダシランド」事務局(山口)と協力し、周南市の体育館で催す。12月には再度、広島駅で計画。これらの実績を基に、納税促進や地域振興の効果を県内外の自治体へ訴求するという。アンドピリオドではイベント1回の平均売り上げを25万円程度と想定。10の自治体で月2回ずつ開催し、年商6000万円規模の事業に育てたいとする。そのほかイベントでは同社のLINE登録者を募り、主事業である産地直送ECサイトの売り上げ増にもつなげる狙い。東広島市出身の藤中社長は2017年に大崎上島で就農。担い手不足や高齢化といった1次産業の課題解決を目指し22年、ECサイトの代理運営などを手掛ける同社を起こした。
担当記者:近藤