地域経済 2025.10.28

県内蔵元 劣化しづらい清酒造りに挑戦 食品工技センターが新酵母を開発、採用相次ぐ

 県立総合技術研究所食品工業技術センター(南区比治山本町、大土井律之センター長)が開発した日本酒の劣化を抑える酵母「ひろしまLeG(レグ)」シリーズの導入が、県内日本酒メーカーで広がっている。2024年に発表された同LeG―爽(そう)は既に県内10蔵が計13銘柄を商品化し、国内外の品評会で入賞する例も増えてきた。長期輸送を経ても本来の味が楽しめる酒に輸出拡大の期待がかかる。
 ワインで一般的な保存料の使用が禁止されている日本酒は、殺菌処理や低温保存で品質を保つ方法が一般的だが、殺菌後も瓶内の酵素反応で味が変わるため冷蔵保存が推奨されている。生産〜販売の全工程で冷蔵状態を維持するにはコストや設備面の課題があり、特に輸出先では常温輸送・保管による劣化が悩みという。
 同センターが開発した酵母は、常温・長期保存しても硫黄や漬物のような貯蔵劣化臭(老香)が発生しにくい酒が造れる。「爽」で造る酒は酸味が強く、白ワインのようなさっぱりとした飲み口になるという。既に今田酒造本店(東広島市)、白牡丹酒造(同)、榎酒造(呉市)など県内の多数の酒蔵で導入。林酒造(同)の三谷春は24年にシンガポール酒チャレンジで最高のプラチナ賞を受けるなど、海外でも評価を受けている。県外酒蔵の採用は愛知、長野、群馬の各1蔵。
 同センターは10月1日、「爽」よりも果実のような香りが強い「同―彩(さい)」を発表。金光酒造(東広島市)と三宅本店(呉市)で先行使用して実用性を確認した。大土井律之センター長は「思わぬ劣化のリスクが下がるため、日本酒の長期熟成にも取り組みやすくなる。米など原料価格が上がり酒の売価に悩む蔵も多い中、商品の付加価値向上にも期待する」と話した。27年までに酸度が低い酒が造れる酵母2種を追加で開発し、県内全ての酒蔵の個性に対応できるラインアップ構築を目指す。

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