6月27日付で就任したドリームベッド(西区己斐本町)社長の三宅弘人さんは、前職の三井不動産時代に都市や住まいの空間づくりに携わり、ドリームベッドとのビジネスも経験したという。上場計画を打ち出し社員の士気を高めた創業家の先代社長、故渡辺博之さんの娘婿になって間もない頃。三宅さんは義父と一緒に出た宴席に最近、自宅を購入したという方がおられたので、それではドリームのベッドをぜひ、と軽い気持ちでセールスした。そのとき義父は、『ベッドや寝心地は人によって好みがあるので知人だからといって無理なセールスはしないことにしている。それより自信をもって作った当社の製品を本当に気に入っていただける方には、心からサービスをしたいと思っているのです』そう私に諭された言葉が今も深く胸に刻まれていると話す。新たな発想と挑戦を繰り返してきた歴史を未来へつなぎ、次に何をしなければならないかと常に考える。創業者から脈々と引き継がれてきた経営トップの姿勢を改めて肝に銘じている。

広島県テント工業組合(馬淵憲徹代表=綜合テント工業(有)社長)は9月5日、緊急支援物資のテントやシート類、プライバシーを確保する間仕切りなどを災害地へ供給する仕入資金として、商工中金から2億円のコミットメントライン枠の開設を受けた。これで物資を調達して供給する組合員(28社)へ緊急・安定的に資金供給することが可能になった。同工業組合は2019年に県と災害時の物資調達等に関する協定を、21年に岡山、山口県と四国4県のテントシート工業組合と災害要請対応協力の協定を締結している。日本テントシート工業組合連合会(37組合、691社)理事長で、広島テント工業社長の井田達成さんは、「18年の西日本豪雨災害時には支援物資の仕入資金調達に苦労した。通常、見積を取ってから必要な量を仕入れるが、緊急を要する災害発生時は一刻も早く支援物資を届けなければならない。多額な仕入れ資金の必要が生じるが、国や自治体、商工中金と三位一体になって人の命、生活を守る支援活動に力を尽くしたい」元日に発生した能登半島地震では連合会のネットワークで全国に周知。翌日から支援物資の手配を始めたという。今も災害復旧がままならない中、大雨の被害に遭った石川県。国レベルの防災事業が急がれる。

9月17日で広島県と中国四川省の友好提携が節目の40周年を迎えた。経済や農業をはじめ文化、教育分野などに幅広い交流を積み重ねてきた。先駆け、14日にシャレオ中央広場で記念イベント「ニイハオ四川省!」があった。舞いながら一瞬で面が変わる中国の伝統芸能の変面ほか、エリザベト音楽大学に学ぶ四川省からの留学生と日本人学生とのセッションが会場を魅了した。長年にわたり中国の漆を使う三村松社主の三村邦雄さんは、県日中親善協会会長の加藤義明さんと共に伝統衣装〝漢服〟をまとい、世界自然遺産・黄龍のパネル写真をバックに記念撮影。三村さんは、「大河ドラマ『どうする家康』で使用された衣装だそうです。心を自由にすると新しい景色が見えてくる」知人の要請で会長に就いた加藤さんは、「実は中国のことはよく知らなかったので勉強しました。現職に就いて12年。中国を初訪問以来、日本の古代文化のルーツに接し、多くを学びました。人と人の間に流れる温かな気持ちは世界どこでも変わることはないと思います。今後も親善交流を育んでいきます」四川省人民対外友好協会の招待を受けて県内の大学生27人が5泊6日で三星堆・少数民族、新産業などを訪問し現地の学生と交流を図り、9月14日に帰国した。

9月は敬老の日、中秋の名月、彼岸…と何かと忙しい。鯉城餅(西区商工センター)は多品種少量で小回りが利く生産体制を生かし、フル操業。昨年は納入先が仕上げる一次加工品として冷凍団子の全国流通も始め、確かな手応えを得た。南郷敬史社長は、「当社の商品は贈答用ではなく、日常のお茶請けなど、手軽に利用してもらう餅菓子が中心。原材料や燃料費が高騰しているが、簡単に値上げはできない。生産拡大に走らず、職人技の属人化を避け、多能工化を進めてきた。ブランドを求めず、値段の割においしいと評価される餅菓子作りに専念したい」数年前から有給休暇や休業補償、昇給などの待遇改善に取り組む。昨年は法定プラス3日の有給休暇取得制度を設け、5%の賃金アップを実施。誠実で堅実なものづくりに知恵を絞り、ブランドを超えた境地を目指す。

質問を入力するだけでポンッと回答が表示される。資料や企画書の作成、自動返信、果てはプログラミングコードまで、生成AIが業務を肩代わり。誰でも手軽に使える一方、危険もある。9月18日の中四国電子制御部品流通協議会で、広島工業大学の梅村祥之教授がAIの原理や注意点を話した。「生成AIは脳内の神経細胞ネットワークの情報処理に似せた仕組みを数理モデルに使っている。事前学習データからパターンを識別し、予測していくのが最大の特徴。質の良い多くのデータで精度が高まるが、実は敵対的サンプルと呼ばれるAIをだますパターンがあり、注意が必要だ。例えば自動運転時の周辺状況の把握でノイズ(乱れ)があれば、一時停止の標識を検知できずに走り過ぎてしまう。どんなときに間違いが起こるのか、しっかりと検証するよう心掛けてほしい」

江戸時代の紀行文「時雨の山めぐり記」(保田家文書)に当時の旅人が牛田、祇園、安を経て大塚、己斐そして城下を巡る日帰り旅行記がある。その行程は開業30周年を迎えたアストラムラインの軌道に重なる。安佐南区の安公民館は、アストラムと旅行記をテーマに講演会とルート散策会を企画。今も昔も主要な移動ルートの歴史をたどる。9月29日の講演会「旅人の見た安芸」に続き、10月26日に同公民館で二つの講演会「アストラムの運行と技術」(ヌマジ交通ミュージアムの田辺あらし主任学芸員)と「アストラムラインの延伸とその効果」(市道路交通局の堂上祐治主任技師)を開く。11月24日には安郷土史懇話会の案内で、光明寺、長楽寺観音堂など2㌔の沿線ルートを散策する。来年2月まで同区内の5公民館でアストラム関連パネル展を巡回する。

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