デコルテ・ホールディングス(神戸市、売上高58億円)は、シリアルアントレプレナーでもある創業者、小林健一郎氏により2001年に創業し、21年に東証マザーズ(現東証グロース)市場へ上場しています。創業時はエステ事業からスタート。その後リラクゼーション事業、格安結婚式事業、フォトウェディング事業(結婚写真専用フォトスタジオなどの運営)と事業領域を拡大しますが、コロナ禍の影響もあった中で事業を整理。事業拡大の余地が大きいフォトウェディング事業に経営資源を集中投下することでV字回復し、上場を果たしたという経緯があります。創業時より小林氏が経営の中心となって、新ビジネスのアイデアを実現し成長してきましたが、一方で事業拡大に見合う内部管理体制と人材が不足しているとの課題意識がありました。その中でキャス・キャピタルと出会いました。キャス・キャピタル(東京都千代田区)は2003年に設立された独立系投資ファンド運営会社で、中堅・中小企業育成と経営コンサルティングに関するノウハウのほか、企業買収・事業提携やファイナンス分野における知見をいかして大企業のノンコア事業部門や中堅・中小企業に対する投資活動を手掛けています。また投資期間が5年程度と長期的視点に立っているのも特徴です。小林氏によると「紹介を受けて対話を始めた時点では全く売却を考えていなかったが、当社の経営課題について意見交換をしているうちに意気投合し、半年程度で資本提携(持ち分の過半数を売却)を意思決定した」とのことです。デコルテ・ホールディングスは17年にキャス・キャピタルと資本提携。同社から社外取締役の派遣を受け、取締役CFOとして新井賢二氏(現代表取締役社長)を外部から招へいして、内部管理体制強化に取り組みました。18年からはハンズオンメンバーとして山下健次郎氏(現キャス・キャピタル代表取締役Co-COO)が常駐し、増収基調ながら減益傾向だった中でフォトウェディング事業への集中に舵を切り、併せて当時疲弊していた営業部門にプロセス管理を取り入れるなどの改善を推進しました。資本提携時はIPO(新規株式公開)ありきではありませんでしたが、会社を継続的に成長・発展させる中で上場を目指すことになりました。また上場後には、安定株主確保の目的もあり、筆頭株主をミクシィ(東京都)にバトンタッチしました。創業者小林氏は代表取締役CEO職を新井氏に譲りつつも、さらなる事業拡大を目指すデコルテ・ホールディングスを株主として引き続き側面支援しています。

プロフィル

ひろしまイノベーション推進機構毛利 剛実 マネージング・ディレクター

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