ベンチャー企業のmiluma(江田島市江田島町秋月、守本怜矢社長)は来年から、全国の中山間地域など田舎に特化した不動産流通事業「nanone」を始める。不動産の現地案内などを地域住民(センパイ)に委託する「センパイシステム」を採用。不動産事務所とコミュニティースペースを兼ねた「センパイハブ(支店)」や専用のウェブサイトなども設け、地域に眠る不動産の掘り起こしを図る。

地方自治体が主体となって運営する「空き家バンク」全国257サービスのうち、年間成約件数5件未満が67%以上を占める。加えて、全国1747市区町村のうち宅建業者の事務所数10店舗以下が47%となっており、空き家課題が顕著な田舎ほど流通力が低下しているという。同社は空き家の所有者などその地域の事情に詳しい住民に、空き家情報の収集、物件案内や買い手の発掘などを委託。義務のある重要事項説明や契約書の作成はオンラインなどで専門資格を持つ本部が担い連携する。センパイには物件情報や購入希望者対応などに関する定期的な講習とマニュアルを提供し、不動産の知識がなくても地域住民が対応できる仕組みを検討中。物件価格により異なるが約15%前後の成約報酬を設定し、地域を盛り上げるため多くの住民が空き家に関われるようにする。センパイハブは、地域の空き家を活用。飲食店などを併設することでセンパイ以外の住民にも利用してもらい、地域の幅広い情報が集まる拠点とする。守本社長は1994年生まれ尾道市出身。二級建築士、宅建士、古民家鑑定士ほか、県立広島大学大学院経営管理研究科(HBMS)で3月にMBAを取得し、8月1日付で法人を設立した。宅地建物取引業免許が下り次第、事業化を進める。江田島市の地域おこし協力隊員を兼務。守本社長は「不動産屋がない地域ではこれまで、住民自治協議会などのメンバーが移住相談や売買支援などを無償で行っていた。センパイに適正な対価を支払うことで、住民一丸で町を盛り上げていく仕組みをつくりたい」と話した。

担当記者:高見

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