トーヨーエイテック / 岡野 寛範 社長
6月に就任したトーヨーエイテックの岡野寛範社長に、就任の抱負、新中期計画「TIV2030」のポイント、工作機械、自動車部品、表面処理の3分野の現状と今後の計画などを聞いた。
就任の抱負、中計の進ちょくは。
7月に創立75周年を迎えることができ、社員表彰などの式典を開催。式典でも話しましたが、歴史の長い会社で多くの先人が積み上げてきた技術を継承したい。次期中期計画を前に「成長戦略2030(仮)」を策定し、一昨年から体制作り・試行・検証を実施。25年度下期に売上高などの数字を固め、来年度から「TIV2030」をスタートします。工作機械をメインに「顧客のものづくり思想や実現したい技術・商品ニーズに先進技術でお応えする唯一無二のグローバルニッチ企業」を目指します。方針として、①顧客に喜んでもらい持続的成長ができるよう主力3分野の商品ポートフォリオを再構築、②すべてのステークホルダーと更なる信頼関係を強化、③社員が生き生きと働きがいを感じられる魅力あふれる人と組織づくりーを掲げています。
工作機械の現況と目標は。
24年度の部門売上高は約180億円で、30年に部門売上高300〜350億円を目指します。製造現場は人手不足で自動化や省人化ニーズが強い。24年にJIMTOF(東京)、今年は1月にIMTEX(インド)、4月にCIMT(中国)の展示会に出展。9月のEMOハノーバー(ドイツ)にも省スペースの立型研削盤を既に船便で発送済みです。10月のメカトロテック(名古屋)には、昨年開発の横型内面研削盤「THG―35C」の改良版を出展予定。この研削盤は熟練技術が必要な芯出しを自動化、ワーク台を鋳物からミネラルキャストに替え環境に配慮。名古屋ではさまざまな加工面に最適な砥石軸に自動切換できるターレット装置付き改良版を展示します。
シリコンインゴットをスライスするワイヤーソーは現在も高いシェアですが、パワー半導体関連でSiC、GaNなどの固い化合物向けの改良を進めています。三本目の柱となる歯車研削盤は、自動車の電動化やロボットの減速機など需要増が見込まれるギア製造向けで、既に外歯加工の2機を商品化し、7月から内歯加工ができる製品を発売。自社調べでは内径と端面、内歯の三つを一台で加工できる複合歯車研削盤は世界初です。昨年設備投資で大型五面加工機を導入し、次は自動車向けの内歯加工機の開発を行います。
自動車部品部門はどうですか。
24年度は子会社のマイクロテクノと合わせ連結売上高は160億円規模でした。本社工場のマツダ向けパーキングピストンなどを移管し、自動車部品を東広島工場に集約します。本社工場の空きスペースで歯車研削盤を製造し、工作機械工場を1・5倍に拡張。新中計では、電動化対応がポイントで、EOP(電動オイルポンプ)を4モデルで開発。うち高圧力、多油量の2モデルは開発済みで、e―Axle潤滑やバッテリー冷却などに使う中小型EOPを現在開発中です。フューエルレール(燃料供給管)はEVの普及が緩やかになる予想があり、中国で現地パートナー企業への製造委託・技術サポートの計画もあります。
表面処理部門は。
24年度の売上高は約20億円で、新中計では金型以外の受注が課題です。車のモデルチェンジサイクルが長くなり、ギガキャストの広がりで金型が減ることも予想され、昨年「市場開拓課」を新設し、医療用鉗子(かんし)、フライパン、プリンターヘッドなど幅広い需要掘り起こしをしています。射出成形機の押出部品など生産設備の摩耗低減利用なども検討中です。下半期から東日本工場(埼玉)に大型のPVD炉を導入し、東日本で金型などの受注を伸ばしたい。
これまでで印象深い仕事は。
マツダ時代は33歳で赴任し、6年10カ月いたタイ工場開設が思い出深い。新工場でこれまで自動車製造したことがないタイ人と新モデル車を生産。最初の1台の出荷時に喜び合いました。メキシコでは副社長として、技術生産、品質管理、購買などオペレーション全般を担当し良い経験に。防府工場長時代はラージ群の量産準備が印象深いですね。
PROFILE
おかの ひろのり トーヨーエイテック社長。1963年9月24日生まれ、広島県出身。芝浦工業大学工学部を卒業し、86年にマツダ入社。第1車両製造部長、MMVO(メキシコ)副社長、防府工場長などを経て、2022年4月にトーヨーエイテック副社長、同年6月代表取締役副社長などを経て、25年6月から現職。趣味はロードスターでのドライブと読書。