迫 勝則のカープの独り言 / No.928
カープ球団は期限直前の7月28日に若い投手、打者の2選手と支配下契約を結んだ。その投手とは「背番号125」だった高卒3年目の辻大雅。打者は「背番号127」の高卒4年目、前川誠太である。2人ともすぐに1軍登録され、いずれも投打の苦しい台所事情を助けた。特に安定した打力で、長短打を放った前川の存在はカープファンに小さな希望を与えている。
8月7日DeNA戦。4―6で迎えた4回2死二塁。代打で起用された前川は右翼線へ適時二塁打を放ち、早くもプロ初安打と初打点を挙げた。そして翌8日の中日戦。8番・二塁でスタメン起用され、3打数2安打2打点。本人はこう言った。「どうにかしてランナーをかえそうという思いだった」。バットを揺らしながらベース板の上にかざすようにして構える姿が、往年の小窪哲也(現・1軍打撃コーチ)に似ている。
新井貴浩監督はこう評価した。「ハンドリングがいいというか、バットの扱い方が上手い。体の線は細いが、技術的に面白いものを持っている」。8月12日阪神戦、9回2死満塁の場面では代打で登場し、右前2点打を放った。スタンドでは、2軍時代から応援するファンが「127」の応援タオルを揺らした。これから同じ内野手の羽月隆太郎や二俣翔一らに挑むことになる。
前川の打撃はリラックスした構えで、大振りすることなくミート力が高い。「絶対に三振はするな。長打よりヒット2本」は、エースとして甲子園に出場した父親の教えである。大盛穂、二俣に続く「育成の星」になってほしい。
PROFILE
迫 勝則(さこ かつのり) 1946年生まれ。マツダ退社後に広島国際学院大学部長などを務め、執筆・講演活動を続ける。近著は「森下に惚れる」「逆境の美学」