理研産業(中区大手町、久保田勝彦社長)は、成長をけん引する事業領域をデジタル分野に定め、「ICT商社」への歩みを加速させている。7月16日付の組織改編で、商工会議所など外部機関と連携して中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める専任部署を新設したほか、全部署名に「DX」を冠して社内外の意識刷新を図る。デジタルツールを活用した業務改善や働きやすい職場づくりなど、顧客の多様なニーズに応えられる体制づくりを進める。主力の事務機器などオフィス関連商材で築いたネットワークを生かす。特に中小企業のDX推進に注力。新設の部署「DXアドバンスユニット」は、長く営業畑を歩む担当役員が率いる。商議所をはじめとする各地の支援機関、金融機関への最新ICTツールの情報提供などで連携を模索。各所と関係づくりを進める。2018年に立ち上げた月額制のICTコンサルティングサービス「リクサ」の導入先開拓につなげる。デジタル化に伴ってリスクが高まる情報セキュリティー対策の提案にも注力。4月からセキュリティー対策を専業に手掛けるCISO(東京)と連携し、セキュリティーリスクを「見える化」する診断サービスを始めた。各社の状況に応じて過不足のない適切なセキュリティー投資を促す。10月からは社員のデジタル分野のリテラシーを高める研修事業も計画する。7月の組織改編では、従来の管理部を「DXビジネスサポートユニット」、営業部を「DXビジネスソリューションユニット」とするなど全ての部署名を改めた。久保田社長は「顧客ニーズに応えるために、デジタル対応は避けられない。組織改編はその覚悟を社内外に示そうと考えた。従来の事務機販売のイメージから脱し、ICT商社として新たな成長を描きたい」と話した。
担当記者:梶原