まちなか西国街道推進協議会(山本一隆会長)は広島城下を東西に貫く西国街道(近世の山陽道)の歴史・文化を掘り起こし、県内外へ普及させていく構想を描いており、このほど〝街道山車〟を制作した。山車の4面を彩る歴史絵巻を題材にした絵柄を美術系大学へ制作依頼する予定で毎年更新する。同街道沿いに古くから伝わる三つの祭りに山車を繰り出し、にぎわいを加勢する。広島市の楕円形の都心づくり構想と呼応しながら広域展開も視野に入れる。
大型の山車は屋根幅1㍍11㌢角・総高2㍍15㌢を1台、小型は同89㌢角・同1㍍88㌢を2台。組み立て式で伝統的工芸品製造元の高山清(中区)と八木仏壇製作所(南区)、栄光工芸(安佐北区)が設計製作した。費用は(財)広島伝承技術振興センター(西井製作所内)、(社)中国建設弘済会、(財)多山報恩会から資金支援を受けた。障子4面に描く絵柄は、参考資料に広島城下砂持ち加勢瓦版なども用意し、往時をひもときながらデザインしてもらう。来年3、4月にある祭り「西国茶やBar」、「えんこうさん」、「仏だん通り祭」で山車を披露する計画。自治体、関係団体、町内会、学校などを巻き込み、市民レベルに西国街道の歴史・文化を広めていきたいとしている。同協議会は、市の「西国街道を軸とした賑わいづくり計画」を推進しようと、城下町当時の歴史を背景にした市内中心部の観光案内に役立てる「まちなか西国街道」案内板を市に寄贈。同街道の出発点に当たる広島駅前大橋北詰めなどに設置したほか、街道の歴史を子どもたちに伝える出前授業、国土交通省の夢街道ルネサンス認定など、地域住民と協力しながら活動を進めてきた。浅野氏入城400年記念事業の一環で時代行列を催し、江戸時代から続く4蔵の酒を「ひろしま西国街道ブランド」として銘打った企画も手掛けた。高山正事務局長は「歴史・文化を可視化して被爆前の広島を知ることにより誇りを持ってもらう。次代が求める素敵なまちづくりへつなげたい」と話す。
担当記者:藤井