広島経済同友会は、世界遺産がある宮島など沿岸部に比べて観光客が少ないとされる中山間地域の活性化に向けた方策を取りまとめた。2019年の県内観光客の訪問先は広島・廿日市・尾道市のみで全体の約46%、訪日観光客に限ると3市で約93%を占めていた。この状況を受けて県内全域の周遊観光を促すため、22〜23年度に委員会計8回と地元団体を含む意見交換会などを実施。三つの観点から方策を講じた。一つ目のコンテンツに関しては自然や地域資源を生かした観光が不足しているため▽地域の自然・文化体験の「アドベンチャーツーリズム」ツアーを企画。▽廃校舎などの遊休施設を活用。▽農家・職人・観光ガイドなど「人」に焦点を当てたコンテンツづくりに取り組みたいとする。交通手段に関しては目的地までのアクセスなどが不十分とされ▽複数の交通手段を利用する際の移動ルートを最適化し、予約・運賃の支払いを一括で行えるサービス「MaaS」の整備。▽知名度の高い観光地と中山間地域を合わせた周遊ルートづくり。▽ネット上に蓄積された観光戦略に役立つデータを一元管理できるDMPの導入などを進める。最後に人材に関して、観光人材の確保や業務効率化を進めるため▽地域一体となった研修・教育プログラムの実施。▽非接触チェックインのシステム導入などによる省人化と効率化。▽ファンクラブ、ふるさとサポーター制度といったコミュニティーを形成し、情報発信強化につなげたいとする。
担当記者:阿戸