ソフトウエア導入支援のエクレクト(南区)が5月に設立した子会社で、来年中をめどに大崎上島町で企業向け研修事業を計画している。熊野町出身。広島大学大学院を経て経産省に入省し、原子力安全・保安院で石油コンビナートや火力発電所の保安規制などを経験。2年目の出向で現場とやり取りしながら進める仕事に面白さを感じ、Uターンで県庁に入った。県内投資促進課時代にエクレクト西日本本社の誘致を担当。経営層と交流を続ける中、海外の優れたソフトを都市部の企業に導入する事業と、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)な環境といった地方の資源を掛け合わせ、地方の可能性の解放を目指すビジョンに共感するようになった。ベンチャーならではのフットワークの軽さと、県庁で培った経験や人脈を組み合わせれば面白いことができるのではと、一昨年に思い切って転職した。大崎上島町に自社の研修拠点を作るプロジェクトの責任者として、物件探しやカリキュラムの作成、自治体や地元事業者との調整に奔走。研修を通じて、社員が都会では得難い柔軟な思考や多様な価値観を身に付け、課題の発見・解決能力などの向上につながったと感じる。これを社外にも提供することで、島に人や企業が集まるきっかけをつくりたい。県外へ出た同級生の多くが広島に戻りたいのに仕事の面から諦めている。同町が先行事例となり、10〜20年後には田舎で働くことが当たり前の世の中になればうれしい。
担当記者:大島